67話 「規生君、なんでこの和解したタイミングで弓で射ったのかしら」


  「ぴぎゅあぁぁあ」

 

 はぁ、たいして可愛くもない少女は、まだ泣き騒ぎます。

 そんなに泣き騒いだら、元からたいして可愛くもない顔が更に可愛くなくなりますよ。


 「ほら、貴女は死んでない」

 「私は約束通り、貴女を殺してない」


 とりあえず、私が約束を守ってる事をアピールします。

 そこさえアピールしておけば、大抵の事はなんとかなるものなのです。

 

 「もう、てめぇは私の事を傷つけない?」


 「ええ」

 「私はもう、貴女を傷つけないわ」

 「約束するわ」


 時間がないので、たいして可愛くない少女の要求を飲んであげる事にしました。

 覚えてなさいよ。


 「約束」

 「私、てめぇと約束する」


 「約束成立ね」


 私は、たいして可愛くもない少女の喉元をごろごろと撫でる。


 ふふふ、こうしてみると、この少女がたいして可愛くなくても、

少女というのは良いものですからね。

 どんな顔をしていようとも、少女は少女であり、その少女の若い肉体だけで、価値があるように思います。

 ぶっちゃけ、少女なんて顔の出来がどうであろうと、肉体さえ若ければ、余程の事がなければ価値がありますからね。

 あー、少女って最高。

 私、このエタファンの世界で、1億人以上の少女達をおもちゃにして、面白楽しく生きていきます。


 「ちぎゅぐぅぅっぅ」


 あ、たいして可愛くもない少女が弓で射られ、また泣き叫びました。

 なんだか、そんなに驚きもありません。

 犯人は、分かり切っています。 

 この弓を射ったのは、敵ではありません。


 「規生君、なんでこの和解したタイミングで弓で射ったのかしら」


 近づいてきた規生君に、質問してみました。


 「俺、義徒を弓で射殺す」

 「弓の練習必要」


 うーん、困りましたね。

 義徒を殺す事に熱心で努力家なのは良い事ですが、だからといって、配下の者を弓の練習の的にされては困ります。


 「規生君、私の配下の者を弓の的にしてはいけないわ」


 「うぉぉぉ」

 「俺、納得いかない」


 困りましたね。

 納得いってくれません。

 本当に困りましたね。

 えっと、これどうしましょう。

 私の手に負えませんよこんなの。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る