25歳ヲタク魔法使い女性は大好きな作品の原作者の男性に溺愛されています。

Mtoo

ヲタクは原作者に出会う

「すみません、今日は上がってもいいですか?」

「いいですよ。休日、楽しんでくださいね。」

 よっしゃー!今日定時上がりできるなんてラッキー!天は私に味方してるね!

 表面上は落ち着いて、心の中はものすごくわくわくしながら支度をする。

 よし、仕事終わりは本屋によるぞ!


「お、これこれ!」

 ”大賢者の旅12”と書かれた漫画を手に取ってそのままレジへ進む。

「これください!」

 本屋の店員さんにお金を渡す。

「毎度ありがとうございます。またご来店ください。」

 本屋の店員さんに顔を覚えられてるみたいだが、どうでもいい。本を鞄にしまって転移ポータルに向かった。


 うん、やっぱり混んでるね。転移ポータルの前に行列ができてるのももう見慣れたな。

 こういうときは買ってきたばっかりの漫画を読みながら行列に並ぶとしますか。移動魔法を覚えるまであとちょっとなんだけどな・・・・。なかなか難易度が高いよ・・・・。

 漫画を読みながら並べば転移ポータルの魔法陣の上に乗るのもすぐだ。よし、帰るぞ!


 紹介するね、私の名前はエミリー・アベラール。もう25歳になった魔法使いだ。

 容姿は真っ白で血色の悪い肌に、ベビーピンクと呼ばれる色でぼさぼさでショートヘアーの髪に、アメジストを連想させる紫色の瞳をしている顔だ。全部染めたりはしていない。小さいころはかわいいと言われていたが、今ではあまり言われない。子供の可愛さをかわいいと表現していたのだと、今では思う。今は容姿に全く気を遣ってないので、そういうところもあるかもしれない。

 晩婚化している今なら25歳は結婚適齢期だが、恋愛に興味がない。結婚なんかなおさら興味ない。

 そんな私の趣味は、”大賢者の旅”という物語を楽しむことだ。語りだしたら止まらないからある程度割愛するが、原作者はクロヴィス・カルヴェで、内容は”異世界からこの世界に降り立った少女が旅をして大切なものを見つけていく物語”だ。主人公のヒロインもヒーローもすばらしい。それに、登場人物の大半の人物が存在することも特徴だ。それに・・・・おっと、語らない約束だったね、ごめん。

 この広い国中でもかなり人気がある物語で、国外でも多分人気がある。それに、国内だったら、原作の小説はもちろん、漫画になっていたり、グッズも売っていたり、アニメにもなっているぐらいの大ヒット作だ。一度原作者の顔が見てみたい。きっと知的な人なのだろう。私には関係ない話だけど。

 明日、”大賢者の旅”のファンクラブがある。ファンクラブでは、二次創作で絵や漫画、小説などを見せあい、作品の良さを語り合う時間はすごく楽しいものだ。

 この漫画を読み終わったら、明日に備えて早く寝よう。そう決断した。


 次の日・・・・

 朝9時、転移ポータルにつく。携帯に来たメールによると、ファンクラブに体験入会する人がいるという。語り合う人が増えるのは嬉しい。

 真っ白なワンポイントすらないTシャツに、ウエストゴムのズボンを着ている。まあ、私服はこれが一番楽だと思うな。

 しかし、転移ポータルが平日の通勤の時間帯よりは混んでないな。幸運なのか、不幸なのかは私が決めることね。

 あ、転移魔法陣が目の前にある。よし、乗ろう!


 転移ポータルを乗り継ぎ、ファンクラブが開催されている部屋に来た。ここは、普段は習い事をやっている場所らしいが、習い事が休みの日に借りている場所らしい。

 どちらにせよファンクラブが開催されている場所なことには間違いない。部屋の中に躊躇なく入った。

 中には、いつものメンバーと、体験の人であろうすごいイケメンな人がいた。

 いつものメンバーの描写はいいとして、イケメンの方は血色のいい真っ白な肌に、真珠みたいな光沢のあるうっすら黄色を帯びた白い髪に、ロイヤルブルーの綺麗な瞳をしている。整った顔といい、まさに”欠点一つない完璧な美”である。

 身なりも、シンプルなYシャツに、テーパードパンツという組み合わせで、シンプルでありながらもイケメンな彼をよく引き立てていた。その姿はまるで・・・・

 しばらく見とれていたらみんなが沈黙していた。そういえば、新人が来るときは私が声をかけるんだっけ、とか思った。でも私、こんな綺麗な人に免疫なんてないよ?

「よ、ようこそファンクラブへ。案内のアベラールといいます!」

 そう言ったら相手は目を大きく見開いていた。何に驚いているんだろう、この人は。

「お出迎えありがとうございます。体験で入らせてもらったクロヴィス・カルヴェといいます。こちらこそよろしくお願いいたします。」

「えええええ!?クロヴィス様!?」

 クロヴィス・カルヴェ。言わずとも知れた”大賢者の旅”の原作者だ。そして、大賢者の旅の中にも出てくる物語の登場人物でもある。確かにまるでクロヴィス様だと思ったよ。でも、本人って誰が想像するの!?

「あ、そんなにかしこまらないでください。俺が趣味で来ただけですから。」

 趣味?趣味ってどういうこと?ファンクラブって趣味の話をする場所だけどさ、原作者が来る場所ではない気が・・・・。

 まあ、いいや。この際だから、設定とか聞いちゃおう!


 あとがき

 私の小説を読んでくださりありがとうございます。もしよろしければ次のお話も読んでくださるとうれしいです。

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