第13話

13 話




翌日

私とユキは朝早くから拠点を出てとある場所へと向かっていた



「ここが昨日の……」



酒場である

警察が現場検証をしたような後が残っているが殆ど手付かずで残っていた

そしてお目当ての品も残っている



「残ってて良かった……」


白かったドロイドが握りしめていた一つの棒

感触を探ると凹みを見つけ押す


すると

黄色いビームサーベルが展開され確かな重量を感じ始める


「お目当ての品ってそれ?」


「えぇ、」


「何に使うの?」


「シャーロットに渡すのよ、」



シャーロットは昨日の夜

射撃技術と一定の剣術に対し理解と実力を持っている事が発覚したのだ





————昨日夜 食事後



「私はこれでも強いのよ?」


肉を一心不乱に齧り付き

その至高の旨味に体を浸しているとシャーロットが自信を含んだ声色で自慢する様に語り出す


「私だって昔は父様からスパルタ教育を施されてだな」


「施されて?」


「射撃訓練テストではこの敵のドロイドのを抜いて1位になった事がある」


「ブフォ‼」


ユキか飲んでいたお茶を吹く


サラッと流しているがドロイドに勝つなんて基本は出来ない

もちろん私たち魔界人もだ


それをサラッと流している時点でシャーロットの射撃の腕前は確かな物があるだろう

それを確信させるだけの説得力がシャーロットの目にはある



「疑うなら地下にある射撃訓練所で見せてあげようか?」


「おう是非とも頼みたいね」


「先にご飯を食べようか」


私はお茶の入ったコップをテーブルに置く


「分かってるさ」


「分かってるわよ」



二人のハモリに微笑みながらも皿の上にある肉を口へと運び食べ続けるのだった……





「よぉーし」


20分後食べ終わった私達はシャーロットの案内で拠点の地下へと来ていた

地下は過度な装飾はなく

それどころかコンクリートの壁が剥き出しで質素な感じが上の質素と言う概念が存在しない空間とはかけ離れており

まるで異次元に来たような感覚が私を襲う



「着いたわよ」


シャーロットが止まった場所は文字通りの射撃訓練所なのか機関銃からブラスターライフル、拳銃やロケットランチャーまで様々な武器が保管されており

的まで立体的な物やホログラムまで

高価な技術が詰め込まれているように感じる


その風景に圧倒されているのは私だけでなく、

ユキやリリーちゃんも同様である


そんな私達を横目にシャーロットは装備を着て自信有りげに一つのリボルバーを取り出し的へ銀色に光る銃口を向ける


そして


6発の銃声がほぼ同時に聞こえたかと思えば

一番お遠くにある的6つの頭の一部が吹き飛んでいた



「あ……」



正直びっくりである

シャーロットが強いのは分かっていたものの

リボルバーでこれ程までに正確な射撃を見せるとは


これなら確かに工事でも戦えるかも知れない



「確かにこれなら工場での戦闘では役に立ちそうだな、そう思うだろ?カムラッド」


「えぇ、まさか、ここまでとは思ってなかったわ」


「えへへ〜褒めても何も出ないよ〜」


「ふむ……」


「でねでね、私実は剣術も使えるのよ」


今までだんまりだったユキが口を開く


「それは興味深い、是非とも見せてもらいたいわね」


「勿論良いとも!ついてこい!」


「はいはい〜」



シャーロットの後を追い

地下の奥深くへと入っていく


階段を数段降りると扉が現れ

それを開けると



「へぇ……」


飾られれている剣や少しの刀、棍棒や盾等が飾られている

近接戦闘に関する事を訓練する為の道場のようだ



シャーロットは中に入ると壁に飾られていたロングソードを手に持ちユキの前に立つ


「勝負をしましょう!」


「シャーロットがそう言うならわたしも下がれないね」


ユキも抜刀し2人は相対す


そして痛々しい金属音と共に二人の戦闘がスタートする

最初はロングソードの重さとシャーロットの早い動きとそれに適切な剣の扱いによりがユキの刀に対して有利に立ち回る


しかし戦闘が長引くと戦闘に慣れて来たのか、

はたまたコツを掴んだのか

ユキの刀が徐々にロングソードを押し返し初め

遂にシャーロットは体勢を維持出来ずコケてしまう


「わたしの勝ちね」


「負けちゃったかぁ〜」


「貴方の剣術ならロングソードよりも軽くて切れ味の良い武器の方がいいと思うわよ」


「そう?」


「スピードを意識出来る武器ならもっと強くなれるわ」


「そうか!参考になせてもらうよ!」



私は少し考える

ユキの言う軽くて切れ味のいい武器に関して心当たりがあったからだ……



私はユキに近付き耳打ちをする


「ほんと?」


「それを使えばシャーロットはもっと強くなるかも」


「なら試さない手はないわね」




————現在



そういう事もあり

このドロイドが持っていたビームサーベルを回収しに来たのだ



「正直まじで残ってたとは思わなかったよ」


「同意、警察は本当に何をしてるのかしら」


「動きも単調であまりやる気を感じれないね」


「やる気を感じないというかやり方を知らなさそうと言うか」


「ちょっとよく分からないね」


「汚職が横行している故に仕事が存在しないからやり方を忘れてるのかな」


「可能性はあるわねーと言うかその説が濃厚過ぎるら」


「まぁどんな理由があれマトモな連中でない事は確かね」



そんな話をしていると



「オイ、何かキュウケイ前と違くないか?」


「シンニュウシャが居るのか!」


「ダレカ居るのか!」



噂をすればってやつ?



私はユキと共にその場を離れ

間一髪ドロイドに目撃される事は無かったようだ


「じゃあ帰ろうか」


「そうね」

 

用事も終えた私達は拠点へと足早に帰る事にした






  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る