第25話
25話
私はユキの肩を借りながらいつもの兵舎の、
私達の部屋の扉を開ける
「「「退院おめでとー」」」
ユキが扉を開けると共にクラッカーの音が鳴り
部屋の中を見るとニコル達が真っ白なホールケーキを中心に
様々なご馳走の並んだテーブルを囲んでいる
「これは……」
「これはね〜セレナの退院を祝う為にやってるんだ〜」
「そうだぞセレナ、今日の主役はお前だ」
「さぁさぁ!座ってくださいセレナさん!」
私は促されるまま座る
「さぁ!号令して食べましょ‼」
「だな」
「それじゃあ〜セレナの退院を祝って〜いただきま〜す」
「「「「いただきます」」」」
私達はニコルの号令とと共に食事を始める
私は並べられていたチキンを手に取り思いっ切り齧り付く
「それにしてもよくこれだけの食事を調達出来たね……」
「あぁ、巡洋艦墜落と援軍による補給で大きく在庫を確保出来たから最後の撤退戦前に英気を養えだとよ」
「じゃあ他の皆は食堂なのね」
「まぁわたし達はセレナを迎える為にここで食べさせてくれってお願いしたんだけどね」
「病人であるセレナさんに何かあっては大変ですからね!ちゃんと面倒見れる場所に置いとく事にしました」
「私は犬かな?」
「ハハッまぁそれに近いだろう、」
「むー」
「まぁこうやって皆で集まれてるのも奇跡よね〜」
「嬉しい限りですよ……本当に」
「そうね、今まで危機的状況は何回かあったからね」
「今生きているのは本当に奇跡なんだろうな」
私達は雑談に花を咲かせ
出会った時の事を思い出していた
最初は何が何だかあまり分かって居なかったけど
戦い過ごす内にお互いの事を深く知り
良い友情を構築出来たと思っている
実際ニコルやナギサもそう思ってくれている様で
私達の事をこうやって歓迎してくれている
「……」
「どうしたの〜?」
「い、いやぁ……ちょっと最初の頃を思い出してたの」
「そう〜?あの時は私達もびっくりしたな〜」
「ねぇ?ナギサ!」
「ん?あぁ、確かにな」
「急に部隊内に人が追加されると言われてびっくりしたさ」
「長い間2人で活動して来てたからね〜」
「そう言えば二人の出会いってどんなのだったの?」
「あ、わたしも知りたい」
「私も出来れば知りたいですね……」
「ナギサとの出会いか〜」
「懐かしいな!」
「出会いかぁ〜あれはアレクセイ殿下と出会ってすぐの事だったね〜」
「当時の私は〜ポーツマス条約機構の情報を多く有した状態で放浪していたから〜
私を雇用しようとする企業や事務所は多かったの〜」
「でも私は彼らの真意を知ってるの〜
ポーツマス条約機構の情報を抜き取るだけ抜き取り捨てるのは目に見えていたし〜
実際情報が欲しいだけの連中ばかりだったからね〜」
「んでナギサと出会ったのは私が本当に腰を下ろせる場所を探していた時に〜」
「アレクセイ殿下と一緒に来たんだよね〜?」
「あぁ、そうだな、私とニコルはそのとき出会った」
「あの時のナギちゃん、反抗期で可愛かったなぁ〜」
「お、おいナギちゃんって……」
「ふふ」
私はつい笑ってしまった
二人の微笑ましい会話を見ているとつい笑いが漏れてくる
「おい笑うなよー」
「まぁ良いじゃない〜ナギちゃん」
ニコルのいじりにナギサはむーっと頬を膨らませている
「どこまで話したっけ〜、あっアレクセイ殿下と一緒に私に会った所までね〜」
「とある酒場が合流予定地でね〜、いざ扉を開けて酒場に入るとナギちゃんが酒場の人間8割くらい制圧しててビックリしたよね」
「あれはあっちが先にやってきたからな!私は悪くない、きっとそうだ」
「まぁ〜そんな出会いだったけど結構良くしてくれてね〜、その後アレクセイ殿下とも面会してちょっとした契約を元にここに来たんだよね!」
「へぇ……そんな事が」
「昔の話だけどね〜」
「懐かしい話をしたな……」
私達はそうやって過去を話し合いながら
食事を進める
「ごっちそうさまでした〜」
「「「「ごちそうさまでした」」」」
食事を終えた私はベットに移る
「私達はまだ用事があるから出かけるけど〜セレナは安静にね〜」
「は〜い」
私は布団を被り
部屋を出て行くニコル達を見送る
「ふわぁー」
皆が部屋を出た後
私は薬か昨日の疲れか
睡魔に襲われ
そのまま目を閉じるのだった
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