番外編 大規模クラウン"ノア"入団試験 三十一
アナウンサー「双方入場」
重なる恐怖を押し殺しながら戦場へと赴く。
レイン「宜しく、リュウト」
俺「宜しくお願いします」
重い…握手する際に感じる強者の重み、無意識に相手を絶望させやがる。
審判員「双方位置に」
近い…やけに距離が近く感じる、一回戦ではこうじゃなかったんだけどな。
銅鑼が鳴った。
跳ねるように飛び掛かってくるレイン、手合わせの時より速い!
無理に逆らわない、後方に飛ばされるように受け流す。
くそっ、こちとら剣二本だぞ!?
なんでこんなにも…数で打ち負けてるっていうんだっっ!
自分の上位互換ってのは簡単にいる、当たり前かのようにそこに存在する。
全く…嫌な世の中だよ!
ただ嘆いていても仕方がない、打ち負ける事は容易に想像出来た。闘いが始まる前から分かっていた事だ。
俺(スキル発動 幻影)
レインは、後ろに下がらない。
一回見せたしな、このスキル。
今ので前回みたいに後ろに下がってくれたら助かったんだかな…
俺(スキル発動 バックステップ)
後方へ高速で下がる、これで多少時間を稼ぐ。
少し立て直したいんだが…迷わず追ってきた。
だが、多少時間は稼げた。
俺(スキル発動 スラッシュ)
追撃してきたと同時スキルを発動したが、軽くあしらわれる。
余りに実力差があると、駆け引きやフェイクなどという小細工など力で壊される。
俺はお前の土俵にすら上がれないのかっ!
レインの剣がさっきより高速で動く、恐らくスキルだ。
避けようとするも、そんな暇などなかった。
出来たのは、せいぜい剣を体との間に入れるくらいだ。
面白いぐらい俺の体が跳ねる、線はまだ出てない。
真横ではなく、斜め上からやられたようだ。
全くアイツは、俺を殺すつもりなのか?
手で体を起こそうとするも、力が入らない。
もうイイだろ、充分やったさ。
心にあった筈の、灯火も最早消え去ろうとしている。
目を閉じる
何だか…聞き慣れた声がする。
?「頑張れ〜!」
?「負けんな〜!」
意識を声の方へ向ける。
俺「ユウコ?」
場は完全に俺の敗北ムードだ。
だが…
だがしかし…
一人だけ…
たった一人だけ…
勝利を信じてる人がいる。
灯火が…
炎が…
彼女が…
再び俺を照らした
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