第2話 始まり

?「今日は一旦撤収しよう」


静かな声ながら、彼の声はよく通る。大手クラウンである"ノア"の第11班、班長のレオン。金髪碧眼のthe王道主人公の容姿をしている。


俺達の頼れるリーダーであり、この班最大の矛である。




?「まぁ、あらかた二階層の地形は作図出来たな」


少し歳を召した厳つい見た目の割に中身は優しいこの漢はゴードンさん。班の兄貴的存在で俺達の守の要である、タンカーだ。 




?「簡単だと思った…」


この人はレネさん。水色の髪と目をしていてボブが良く似合ってる。

口数はあまり多くないが、結構面白みのある人だ。サブアタッカーで偵察や攻撃など、幅広く出来るオールグラウンダーの遊撃手だ。




?「レネさん、クリスさんに面倒事を押し付けられましたね…」


そして、この女性はマリーさん。全身から母性が溢れている人で、長い髪をポニーテールにして束ねてる。


見た目どうりヒーラーをやっていて、遠距離からも攻撃をしてサポートしてくれる。




 そして、最後に俺。この班の中軸…なんて言いたかったが、生憎俺は荷物持ちでやらせて貰っている。あまり声を大にしては言えないが、まぁそこそこの容姿はあるだろう。タブン…


俺「荷物もだいぶいっぱいになってきたぞ…」


今にもはち切れんばかりに、パンパンに詰まった俺の相棒を擦りながら、俺は言う。


レオン「じゃあ、みんな一致したという事でいいか?」


「「「「異議なし」」」」




レオン「もうすぐ夜行性の魔物が活発なる、急いで戻ろう」


レネ「先行する?」


俺「いや、レネさんは休んどいて下さい。自分今日戦闘に参加していないんで」


レネ「ん、よろよろ〜」


レオン「よし、じゃあ行こうか」




 移動は基本、ヒーラーを中心に前と左右に等間隔に配置し、残りの一人が先行し魔物の有無や道の状態などを確認する。道に異常があれば付近の物に傷などを付け、敵がいたなら仲間と合流する。そして、深刻な問題が発生すれば笛を鳴らすなど班ごとに決めてある。今の所は異常なし…そう思ったら丁度グレートウルフの集団が出てきた。




 コイツは食べる鉱石によって色や硬さが変わるが、こいつらは本来の色であるグレーの毛皮のままだ。一応、俺も大手クラウンの端くれ、他に仲間もいないようだし素手でいいだろう。素早く接近し、先頭にいる個体を脳天めがけて蹴り降ろした。




俺「ふぅ…」


流石に攻撃力は弱いと言え、これぐらいの個体なら一撃だ。


俺「他の個体は逃げたか」


ここは地上にも奴らの苦手な日光石があるおかげで、緑が多い、そのため鉱石が露出していなく、アイツらが来るには適さないだろう、つまり…元々あるグループに入っていたが、追い出され、その個体同士でグループを作っていたのだろう。結束はおろか、仲間意識さえ薄かったのではないだろうか。




俺「しっかし、どうすっかな〜」


非常時以外、解体して持てる分だけ持ち、あとは焼くのがマナーだ。だが、こいつの毛皮は燃えにくい。火に耐性がある防寒着の素材として、そこそこの値段では売れる為、初〜中冒険者としてはよい収入になるが、ある程度上に行くとはした金だ。


俺「仕方ない、解体すっかぁ」


毛だけ持って帰って、肉だけ焼こう。




俺(スキル発動 ファイヤ)


この世界では、スキルを通じてしか魔法を使えない。今のは初心者の頃最初に覚えるスキルだ。しかし、初心者スキルと言っても、上級者が使うファイヤとは天と地ほどの威力の差がある。それに、初心者魔法は、自分の強さを測る指標となる。30cm以下が初心者、30cm〜3m未満が中級者、3m以上が上級者だ。まぁ、これは魔法に限られるため、これが全てになる訳では無いが、自分の現在の実力を可視化出来るのはありがたい。ちなみにノアの入団条件も3m以上で、俺はぎりぎりのぎり。




入団試験前までの最高は2m95cmだから、ぶっつけ本番だった、あれが火事場のバカ力って奴なんだろうな…


俺「そろそろ行くか」


緑生い茂る草原の中心部に町はある、ここまで来たら後少しだ。




〜数分後〜


レオン「お〜い」


レオン達が走ってくる、わざわざ走って来なくてもいいんだけどな。


レオン「すまない、少し遅れた」


装備は汚れ、汗が滴り落ちる。だがイケメンは、実際に光ってはないんだか、何故こうもキラキラしているんだろうか?


マリー「風呂…風呂」


俺「じゃあ合流したし入るか」


石造りの城壁に、少し錆がついた門がかつての前線基地の名残りを感じさせる。


ゴードン「着いたな!」




一階層への入口をおも兼ねる、2階層最大の町にして自由と冒険者の町、"ロードタウン" 今帰還

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