第1章:出会い
桜井リンダは、その日も早朝から研究室に足を運んでいた。彼女の24歳という若さからは想像もつかないほどの集中力で、遺伝子工学の実験に没頭していた。リンダの長い黒髪は、きちんとまとめられ、白衣の襟元からわずかに覗く首筋には、ほんのりと香水の香りが漂っていた。
リンダの魅力は、その知性と外見の調和にあった。大きな瞳には知的な輝きが宿り、繊細な指先で実験器具を扱う姿は、まるでピアニストのように優雅だった。彼女の存在感は、研究室の空気さえも変えてしまうほどだった。
そんなリンダの日常に、大きな変化をもたらす出会いが訪れる。
研究室のドアが開き、栗谷澄子が颯爽と入ってきた。澄子は、リンダの2年先輩で、すでに業界で注目される若手研究者だった。澄子のショートヘアは知的な印象を与え、ナチュラルメイクは彼女の美しさを引き立てていた。
リンダは思わず息を呑んだ。澄子の姿に目を奪われ、手元の作業を一瞬忘れてしまったのだ。
「おはよう、リンダ。今日も早いのね」
澄子の声は、朝の静けさを心地よく破った。
「あ、おはようございます、先輩」
リンダは慌てて返事をしたが、自分の声が少し上ずっているのに気づいた。
その日から、二人は共同研究のパートナーとなった。女性同士の生殖をより効率的にする技術の開発??それは、この新しい時代に求められる重要な研究だった。
日々の実験と議論を重ねるうちに、リンダと澄子の間には特別な空気が流れ始めた。それは単なる尊敬や友情を超えた、言葉にできない感情だった。
リンダは、澄子の仕草の一つ一つに目を奪われていた。実験データを見つめる真剣な眼差し、考え込むときにペンを唇に当てる癖、そして時折見せる柔らかな笑顔。すべてが、リンダの心を揺さぶった。
澄子もまた、リンダの存在に特別な意味を見出していた。リンダの鋭い洞察力と、それでいて時折見せる愛らしい仕草のギャップに、心惹かれていった。
二人の間には、言葉以上のものが通い合っていた。実験の合間の何気ない会話、目が合った瞬間の微笑み、そっと肩に触れる指先??それらすべてが、互いへの想いを静かに育んでいった。
そしてある夜、彼女たちの関係は大きな転機を迎える。
長時間の実験の末、ついに画期的な成果が得られた瞬間だった。女性同士の生殖をより効率的に、そして安全にする技術の大きな進展――それは、この世界に希望をもたらす発見だった。
興奮と喜びに包まれた二人は、思わず抱き合った。そして、その温もりの中で、互いの唇が自然と近づいていく。
「リンダ……」
澄子の囁きは、夜の静けさの中でかすかに響いた。
「先輩……」
リンダの声は震えていた。
二人の唇が触れ合った瞬間、リンダの中で何かが目覚めた。それは、これまで眠っていた感情の奔流だった。柔らかく、優しく、そして情熱的な――女性同士だからこそ分かり合える繊細な想い。
キスが終わり、二人は互いの額を寄せ合ったまま、静かに息をした。
「リンダ、後悔しない?」
澄子の声には、不安と期待が入り混じっていた。
「はい、先輩と一緒なら……」
リンダの言葉は途切れたが、その想いは確かに澄子に伝わっていた。
仮眠室の静寂を破るように、リンダと澄子の息遣いが響いた。薄暗い空間で、二人の姿がぼんやりと浮かび上がる。
リンダは澄子の顔を見つめた。普段は凛とした表情の澄子の顔が、今は柔らかく緩んでいる。その姿に、リンダは胸が高鳴るのを感じた。
澄子もまた、リンダの姿に見入っていた。長い黒髪が肩に流れ落ち、その先端が白衣の襟元に触れている。普段は冷静沈着なリンダの瞳に、今は熱が宿っていた。
「澄子……」リンダの声が囁くように漏れる。
「リンダ……」澄子の返事も、かすかに震えていた。
二人の指先が触れ合う。その瞬間、稲妻が走ったかのような感覚が全身を貫いた。
リンダは澄子の首筋に顔を寄せた。そこから漂う柑橘系の香りに、リンダは目を閉じた。澄子は、リンダの髪から立ち上るラベンダーの香りに酔いしれる。
二人の唇が重なる。柔らかく、しかし情熱的なキスだった。澄子の唇の感触に、リンダは陶酔した。それは、これまで感じたことのない甘美な味わいだった。
手が互いの体を探るように動く。白衣の下に隠れた肌の温もりが、指先を通して伝わってくる。
「リンダ、あなたの肌……とても柔らかい……」澄子の声が震える。
「澄子も……温かくて……」リンダの言葉が途切れる。
二人の体が重なり合い、白衣が床に落ちる音が聞こえた。
リンダと澄子の体が近づいていく。互いの呼吸が熱く、静寂を破る。
リンダは澄子の体の曲線に手を這わせた。なめらかな肌の感触に、指先がビリビリと震える。澄子の身体は、リンダの触れる場所すべてで熱を帯びていく。
澄子もまた、リンダの体を愛おしむように撫でる。その指先が通った跡に、リンダは熱い痕を感じる。二人の体が触れ合うたび、小さな電流が走るかのよう。
「リンダ……」澄子の声が掠れる。
「澄子……」リンダも息を荒げながら応える。
二人の唇が重なり、深いキスを交わす。舌が絡み合い、互いの味を確かめ合う。
手の動きが大胆になっていく。互いの体の隠れた場所を探るように、指が滑っていく。
リンダは澄子の胸に顔を埋めた。そこから立ち上る香りに、目が眩む。澄子は、リンダの髪の匂いを深く吸い込む。
二人の体が重なり、肌と肌が触れ合う。その感触に、二人とも小さな声を漏らす。
互いを求める動きが激しくなっていく。
体の奥底から湧き上がる快感に、二人は身を委ねていった。
「あぁ…….」「んっ……」控えめな声が、時折部屋に響く。
汗ばんだ肌が月明かりに輝き、二人の体は一つになったかのように動き続ける。
この時間が永遠に続けばいいのに、と二人は思った。互いの存在だけで満たされていく感覚に浸りながら。
そこには、言葉では表現できない深い繋がりがあった。
時が経つのも忘れ、二人は互いの存在だけに没頭していった。仮眠室は、彼女たちの新たな感情の証人となった。
朝日が窓から差し込み始めた頃、リンダと澄子は静かに見つめ合っていた。その目には、新たな絆の芽生えが映っていた。
それは、新しい時代の幕開けを告げる、静かで力強い愛の始まりだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます