第一章22話『神格化』
「ここって全部お店だったの?!」
「ふふっ、城門をくぐれば名前こそ変わりますが明確な
通行した時間帯に偏りこそあったが見慣れた通り、その本来の姿と活気を前にした
建物こそあるものの、
二度目の
人が行き交い賑わう城下町。
美味なる食べ物に始まりオーダーメイドの装飾品、もちろんその他なんでもござれの店々に品々。
人並みに酔ってしまったのも束の間に、視界に入った店から順に片っ端から目移りしてしまう少女は何においても初々しい反応を示していて、自ずと振る話題も大半がこの状況に関する質問になっていた。
だが質問攻めに遭っている
その後、二人は人の少ない方向に向かって城下町を歩いているとふと
「せっかく
そう言ってお祭りムードの華やかな飾り付けがしてある商店を見る彼女の目線は一店舗に定まっておらず、まるで品定めしているような彼女のその姿は
今年は訳あって
故に
しかし
その返しとは少女特有の
「
「いっ、いえ! 別に食べ歩きたいな~~なんて思ってないですよ。そ、それより
「う~んとね―、それじゃあ
そう言って
商店が大半とは言ったが中には祭りに向けた屋台も点在していて、
年相応に食通の
「やぁ、いらっしゃい」
屋台主は冴えない中年男性だった。
特徴と言えば可愛らしい外観の屋台に不釣り合いな中年の男が働いているということだろうか。
身なりには人一倍気を使っているようで一切乱れがなく、しかし傍から見れば物珍しそうに映り、客の目を引くという意味合いではいい方向に働いていると言えるだろう。
そんなパッとしない店主に
「すみませーん。この期間限定、パチパチわたあめを二つください。お代の徴収は
お代の徴収先を聞き、周りの通行人たちは足を止めてざわつき始める。
そしてそれは屋台主も同様だった。
彼ら庶民からしてみれば、貴族が
本来、一國を治める
なぜなら家政婦ばりに何でもこなせる
故に彼女らが大衆の面前に姿を現すのは非常に珍しく、大して深く考えることなく素性を明かした二人は通行人や各店の従業員の視線を集めていた。
「
そして二人は代金の支払いを省き、
その後、二人は店の向かいにある腰かけ用の石椅子に腰を下ろすと仲良く口の中で弾けるパチパチ綿あめを食べ始める。
「はむっ! 美味しい~~!!」
「ふふっ、美味しそうに食べますね。それじゃあ私も、ぱくっ」
そして二人は綿あめを食べ終えると二人はそのまま城下町を見て歩き、さらに親睦を深めていく。
お祭り気分を満喫しながら城下町巡りをしている中、
少女が興味本位で金魚が泳いでいる水球を小突こうとすると、そのことを一早く察知した
「金魚が気になるんですか?
「へっ?」
彼女の行動は少女がまだ行動を起こす前、これから取り得る少女の行動の事前察知はおそらく
心を覗かれたのか? と半信半疑ではあったが少女は「へっ? もしかして心を読んだの?」と反射的な発言にデリカシーも何にもないと言わんばかりに一切躊躇することなく尋ねる。
ついそんな疑問が口をついて出てしまい、自身がアウトプットした言葉が再び耳を通ってインプットされると少女は恐る恐る顔を上げ
しかし彼女は何を怒るでもなく、むしろ心を覗いたことを認める。
それどころか開き直った様子で論点をずらし、今度は説教じみた物言いで語気を強めると再度少女に注意する。
「必要最低限でしか人の心は覗き見ませんよ。ただ、覚えておいてください。
そうして城下町巡りを半日以上を満喫した二人は
帰城後、シエナに何やら声を掛けられたような気がしなくもないが、今にも眠りに落ちそうだった少女は会話の内容を全く覚えていなかった。
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