海の肉

蘇生して 海に帰れと 促すも 釣った魚は 海に帰らず


海からの 家につながる 帰り道 見上げた空に 虹の双雲



             *



海でお別れをした帰り道

見上げた空には虹色の雲


門のように2つの雲が立ち上がり

虹色に光る双の彩雲


魂は逝き、肉は残って


その日は朝から鳩尾(みぞおち)のあたりが痛くて、お腹の痛みを抱えながら行った海だったけれど


蘇生して海に帰せずに残されたコチのその肉を食べた後では、キレイさっぱりと痛みが消え失せた


それを聞いた家族が言う


「そのコチはきっと、ニルヴァーナだったね・・・」

と・・・


助けようとして助けられなかった者に還って助けられてしまう

その肉を他者の身に挺して・・・


海の生き物達はつながっていて、我が身がその身になることで助け合い循環しあって支え合う・・・


その中にこの身も加えてもらえたのだと・・・

この身に入ってコチは、この身の痛みから助け出してくれた


助けたい気持ちはお互い様だった

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る