転生して25年、やっとアイテムボックスが使えるようになったんだが、中に『変なトカゲ』が住んでいて俺に色々と頼んでくる
お前の水夫
第1章 トカゲさんと探索
第1話 トカゲさんとの邂逅
※執筆に関して訓練中の身ですので、何かご指摘があればよろしくお願いいたします。
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職業:探索者
名前:ケンチ
年齢:25歳
以上がこの世界での俺だ。
他人に自慢できることといえば、魔法がちょっと使えることと、
それから大きい声では言えないが前世の記憶を持っている。
日本にいた頃の俺といえば、病気がちで身体が弱いくせに、毎日ただ何となく生きていた気がする。
身体を鍛えたり、健康に良いことをやったり、何かの知識を蓄えたり、なにがしかの努力をすべきだったのだろうが、俺は何もしなかった。
そんな自分が大嫌いだったが、そんな状態でも毎日タバコと酒はやって、ひたすら自分を甘やかした。それで結婚もせずに
それで
こんなことになるのが分かっていたら、役に立つ知識でも技能でも覚えたのだが、面倒くさがりだった俺にはそんな知識も経験もなかった。
小説かなにかで読んでる分には面白かったって記憶だけはある。
それでも家から追い出される人間だというのは乳児の頃から分かっていたので、田舎の村で隠居してた変な爺さんのところに毎日通って顔を売り、魔法を教えてもらったのは我ながらよくやったと思う。
15歳になった俺は途中で食料がつきて死にそうになりながら、何とか街に出てきて
探索者というのは冒険者みたいなものだと思ってもらえたら良い。
モンスター退治や薬草採取以外に、借金の取り立てや店の用心棒、
今日の俺が昔のことを
「長かったぜ……アイテムボックス。これが手に入るまで25年……25年だ。ハハハハハ、これで明日から俺も勝ち組だぜぇぇぇ!!」
この世界はそこそこ危険が多い。つまりは生物が生きていく環境圧力が高い。そのままだと人間はとっくの昔に絶滅していただろう。
だからだと思うが、この世界の神様たちは人間に
魔法だって与えられる
ただし祈らなければならない。祈った上で神々に認められるような生活を送らなければならない。それに願った
毎日、朝晩の2回、
もちろん携帯用の
ようやくだ。ようやく俺の異世界金持ちライフがスタートするわけなのである。
そういうわけで、俺は
収納するのに何か適当な物が必要だ。
俺は部屋の中をグルッと見回して、天井に吊るしてある
「よっしゃ。こいつが入れば取りあえず使える」
自分でもよく解らない興奮と共に、俺は近くに現れたボンヤリとした収納口に向かって、パンツを持った手を突っ込んだ。
興奮していて足元がおろそかになっていたのだと思う。俺はそのまま、足元に転がっていた
「あおぉぉぉ、やべぇ。俺、戻れんのか?」
あらためて周囲を見回してみると、踏み固められた土と
左右を見れば遠くの方で大きくカーブしてるし、正面の一番奥にはガラスみたいな光沢の壁がある。
上をみると岩で造られたような天井でおそろしく高い。
後ろには俺の入ってきた収納口らしきものがあるが、その向こうには吹き抜けの様な巨大な穴があって、さらに穴の向こう側の景色が見えた。空気が異様に
それからもう一つ、収納口の
青い体色のトカゲさんはその丸い瞳でジッと俺のことを見ていた。
体長(頭から胴体の長さ)は80センチメートルぐらいだろう。尻尾もそれくらいはあった。
余談だが不思議なことに、こちらの世界では昔から地球のメートル法が採用されている。誰かが何かしたんだろう。
トカゲさんに話を戻そう。
体型は全体的に丸っこくてムチムチしている。
頭からは
もしも背中から『つぼみ』が生えていたら危なかったな、と何となく俺はそう思った。
とにかくだ、俺の
「こんちは。その……ここに入り込んじまったのは事故なんだ。自分のアイテムボックスに転がりこんだら、ここに来ちまってよ」
それを聞いていたであろうトカゲさんだが、首を左右にかしげながら動かない。
田舎出身だから
それでも相手の反応を見るに言葉が通じていない気がする。
隣の大陸に行くと、これも通じないと聞いたことはあるが……。
俺が他に知ってる言語といえば……日本語ぐらいしかない。ダメ元で言ってみるか。
「はじめまして。勝手に入っちまったみたいで申し訳ねえ。俺はケンチ。ケンチってのは名前だ。ここに来ちまったのは事故みてえなもんなんだ」
俺は日本語で、挨拶と言い訳を同時に伝えるというミッションに挑んでみた。緊張してる所為か妙に半端な言葉づかいだ。
探索者というのは全体的に
トカゲさんの変化は劇的だった。丸い目がウルウルしだして、頭も身体もブレるように震えてから5秒後、突然に日本語で話し始めた。
「おお、日本語が通じるのか! 助かった。外の世界と
えらい数字が出てきたのは取りあえず後にしよう。話しは出来るらしいし、いきなり襲いかかってくることも無いようだ。
ちなみにトカゲさんの声はセクシーな感じのアルトボイスだった。
問題があるとしたら転生者を知っているってところだろう。
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※お読みいただきましてありがとうございます。この作品について評価や感想をいただければ幸いです。
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