第4話

ついに商人に会えたのだ。初めて港街を訪れてから約一ヶ月。長かった。

「茶葉はありますか?」

「はい。リコルテという茶葉がございます」

「これだけ……ですか?」

「はい。申し訳ありません。他の茶葉は生産量が少なく」

「そうなのですね。ではこの茶葉を1袋お願いします」

「かしこまりました」


屋敷に戻って来た。

「さあ、レイナ。早速淹れてちょうだい」

「はい」


「ご用意出来ました。しかし、こちらの茶葉は初めてですので上手に淹れられたかは……。申し訳ありません」

お茶は淹れ方によって味が変わる。急に頼んだことだし、それは仕方のないことだ。

「いえ。ありがとう」

ゴクッ

「っこれは!! 美味しいっ」

ゴクリ

「これよっ!! これを求めていたのよ!!」

リコルテは前世のほうじ茶と同じ味だった。

「それは何よりです」

後は緑茶もあれば良いのだけど。

「さあ、明日も買いに行くわよ」

「はい。お嬢様」


そして、リリカは1週間毎日買いに行った。

「こんなに売れたのは初めてですよ」

「そうなの?」

「はい。いつもは見知らぬ商品ばかりだからか全然売れないんです」

確かに人は初めて見るものは警戒するものだからそうでしょうね。

「でも、それなのに毎年販売を?」

「はい。楽しみにしてくださる方もいらっしゃいますから」

「そうね。私も楽しみにしているわ」

「ありがとうございます」


「さてとしばらく分の買い溜めは出来たけどさすがに後1年間は持たないし、何か考えないと」

屋敷に戻ったリリカはベッドに寝転がりながら、考えていた。

「お嬢様?」

「ああ、いえ。リコルテをどこかで手に入れられないかなと思ったのよ」

「そうですね。リコルテは他では販売されていませんし、後は王宮で育てられているぐらいですからね」

ガバッ

「それ本当なの!?」

「はい。リコルテもそうですが王宮では他にも珍しい植物を多く育てているとか」

もしかして、王宮には緑茶も?

はっ!! いいこと思い付いたわ。

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