第9話「朝の光」

次の日、大輝は早朝から音楽の練習に取り組んでいた。

新しく手に入れた本に載っていた作曲のテクニックを実践するために、ノートパソコンを開き、音楽ソフトウェアを立ち上げた。昨日の書店での収穫が、彼の創作意欲をさらに駆り立てていた。


静かな自宅の中で、大輝は耳を澄ましながら、新しいメロディーを作り上げていった。

音楽ソフトの中で様々な音色を試しながら、彼はメロディーとリズムを組み合わせ、次第に形になっていく曲に満足感を覚えていた。その合間に、先日購入した本を参照しながら、新しいアイデアをノートに書き留めていった。


午前中の練習が終わると、大輝はひと休みすることにした。

外は爽やかな青空が広がっており、気持ちの良い風が吹いていた。彼は公園に向かうことに決め、音楽ノートを持って外に出た。


公園に着くと、日差しが心地よく、大輝は木陰のベンチに腰を下ろしてノートを広げた。ここでも昨日の続きで、作曲のアイデアを練るためにメモを取っていく。周りの自然の音や、子どもたちの笑い声が、彼の心にさらにインスピレーションを与えていた。


ふと、遠くからギターの音色が聞こえてきた。


興味を持った大輝は、音の方へと歩き出した。公園の一角に集まっている人たちが見え、誰かがアコースティックギターを弾きながら歌っているのだった。大輝はその光景に引き込まれ、少し離れた場所でその演奏を楽しむことにした。


ギターの弾き語りを聴きながら、大輝はその演奏に感動し、自然とリズムに合わせて足を踏み鳴らしていた。演奏が終わると、周りの人々から拍手が送られ、演奏者は笑顔で応えていた。大輝もまた、その場の雰囲気に溶け込み、演奏者に感謝の気持ちを伝えた。


帰り道、大輝は公園での体験が、自分の音楽にどのような影響を与えるかを考えながら歩いていた。自然の中での音楽体験が、彼に新たなインスピレーションを与えていた。音楽の創作は、ただの作業ではなく、心から楽しむことが大切だと改めて感じた。


家に帰ると、大輝は再び音楽ノートを広げ、昨日の公園での体験を基に新しいアイデアを取り入れた。彼の心には、奏音との再会を果たすための新たな目標がしっかりと刻まれていた。その思いを胸に、大輝は自分の音楽に対する情熱をさらに深めていく決意を固めた。

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