笑撃の迷宮QUEST7

鷹山トシキ

第1話

主な登場人物

葛城烈

美咲

藤堂警視

南麻里奈

新垣健一

楠修治

藤井涼子

武虎徹

松浦チエ

周理恵

天城


 リオを捕らえた烈たちは、大阪の「地獄」を後にした。片桐が残る大阪の地下組織を統制する一方で、烈たちは次なる目的地、カナダへと向かうことを決意した。リオが持っていた情報を元に、カナダの深い森の奥に、彼らが追っている大きな陰謀の根源が潜んでいることが判明したのだ。


「カナダの森は、ただの森じゃない。そこには我々が思っている以上の秘密が隠されている」と片桐は別れ際に烈に言った。「気をつけろよ、烈。お前たちが追い詰めたリオの背後には、さらに危険な存在がいる。俺も、そいつらのことを完全には把握していないが…奴らは普通の人間じゃない。カナダの森には、いにしえから続く恐ろしい伝説がある。そいつを相手にするつもりで行け」


 片桐の警告を胸に刻みながら、烈と美咲、向井は再び船に乗り込み、カナダの大西洋岸へと航海を続けた。霧深いカナダの大自然が、彼らを待ち受ける戦いの舞台となる。


***


 カナダの海岸に到着した彼らを出迎えたのは、現地のガイドであり、森のエキスパートでもあるダン・ヘンリーという男だった。彼は片桐の古い知り合いで、烈たちの目的地であるカナダの広大な森林地帯を案内してくれることになっていた。


「君たちが追っているのは、ただの犯罪者じゃないだろう?」ダンは、鋭い目つきで烈たちを見つめた。「あの森に足を踏み入れたら、戻ってこれないかもしれない覚悟はあるか?」


「覚悟なら、とっくにできている」烈は静かに答えた。


***


 翌日、ダンの案内で烈たちは深い森へと足を踏み入れた。その森は鬱蒼としていて、昼間でも薄暗く、何かが潜んでいるような不気味な雰囲気が漂っていた。進むにつれて、森の中には謎めいた古代の遺跡が現れ、その石碑には不気味な呪文のような文字が刻まれていた。


「この遺跡は何だ?」向井が尋ねた。


「古代の民が残したものだと言われているが、詳しいことは誰も知らない。ただ、ここに近づく者は二度と戻らないとされている」ダンは険しい表情で答えた。


 そのとき、烈の耳に微かな音が聞こえた。それはまるで何かが森の中を走り回っているかのような、足音だった。


「何かが近づいている」烈は警戒し、周囲を見回した。


 すると、木々の間から突然、黒い影が飛び出してきた。それはまるで動物のような速さで、烈たちに襲いかかろうとしていた。


「注意しろ!」烈は叫びながら、咄嗟にその影に向かって拳銃を放った。


 しかし、その影は銃弾をものともせず、烈の横を駆け抜け、森の奥へと消えていった。


「何だったんだ、今のは…」美咲が震えた声で尋ねた。


「この森に巣食う悪霊のような存在だろう。リオが関与しているのか、それとも別の何かが俺たちを追い払おうとしているのか…」烈は険しい表情で答えた。


***


 さらに進むと、森の奥深くに古びた屋敷が現れた。ダンによると、その屋敷こそがリオの背後にいる者たちのアジトだという。


「ここが最後の戦場になるかもしれない」烈は決意を込めて言った。「行くぞ」


 彼らは屋敷の中へと足を踏み入れた。その中は薄暗く、冷たい風が吹き抜ける。不気味な静寂が広がる中、烈たちはリオの背後に潜む真の黒幕を追い詰めるため、さらに奥へと進んでいった。


 しかし、その先で彼らを待ち受けていたのは、リオ以上の脅威だった。屋敷の主人であり、古代の呪いを操る力を持つ者が、烈たちに牙を剥いた。


「ようこそ、カナダの森の終焉へ…」その声が屋敷中に響き渡り、烈たちは覚悟を新たにして戦いに挑むこととなった。

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