第6話

それからというもの、俺は先生との会話自体が日々の楽しみの一つとなっていった。

先生から新しいことを教わる時間が待ち遠しくて、朝が来るたびにワクワクするようになった。

今日は、ちょっと変わった神話について先生に教えてもらおうと思っている。

クトゥルフ神話だ。

これまでのギリシア神話やローマ神話とは違う、もっと奇妙で神秘的な世界に興味が湧いてきた。

いつものように、俺は朝早く学校に到着した。

教室に入ると、先生は既に席に座って何か書類を整理していた。

俺は元気よく声をかけた。


「先生、おはようございます!」


先生はにこやかに顔を上げ、

「おはようございます、正彦くん。今日はどんなことを知りたいですか?」

と聞いてくれた。

俺は少し緊張しながらも興奮気味に言った。

「今日は、クトゥルフ神話について教えて欲しいんです。最近、ちょっとだけ調べたんですけど、なんだか怖そうで…でも面白そうなんです。」

先生はその言葉に少し驚いた表情を見せたが、すぐに優しい笑みを浮かべた。

「クトゥルフ神話ですか。確かに、それは他の神話とは一味違った世界ですね。クトゥルフ神話は、アメリカの作家H.P.ラヴクラフトが創り上げた架空の神話体系で、異次元や宇宙の深淵に潜む古代の神々や生物を描いています。」

俺はその説明にさらに興味が湧いてきた。

「異次元や宇宙の深淵…それって、普通の神話とは全然違いますね。クトゥルフって、どんな存在なんですか?」

先生は静かに頷いて話を続けた。

「クトゥルフは、ラヴクラフトの作品の中でも特に有名な存在です。巨大で恐ろしい姿を持つ古代の神、いわゆる『旧支配者』の一人であり、深海の都市ルルイエで眠っていると言われています。クトゥルフは、人間の理解を超えた恐怖を象徴する存在として描かれています。」

「旧支配者…なんだか想像するだけで怖いですね。」

俺は少し背筋が寒くなるような感覚を覚えたが、同時にその不気味な世界に引き込まれるのを感じた。


先生は微笑んで、

「クトゥルフ神話は、その恐怖や不安を通じて、宇宙の無限さや人間の無力さを描いています。ラヴクラフトは、私たちが知り得ない未知の存在や力に対する畏怖をテーマにしているのです。そして、それが彼の作品に独特の魅力を与えているのです。」

と説明を続けた。


「じゃあ、クトゥルフ神話って、怖いだけじゃなくて、深いテーマがあるんですね。」

俺は少し考えながら言った。


先生はうなずき、

「そうです。クトゥルフ神話は単なるホラーではなく、哲学的な問いや人間の存在に対する問いかけも含まれています。そのため、多くの人々がその世界観に魅了され、ラヴクラフトの作品を読み続けているのです。」

と語った。


俺は先生の話を聞きながら、クトゥルフ神話の奥深さに魅了されていた。

「もっといろんな神話について知りたいです。先生、次はどんなことを教えてもらえるんでしょうか。」


先生は微笑んで、

「それは正彦くん次第です。興味のあることをどんどん聞いてくださいね。神話や伝承は、世界中に無限にありますから、いくらでも学ぶことができますよ。」と言ってくれた。

俺はその言葉に心が躍り、ますます先生との会話が楽しみになった。次はどんな話を聞こうか、考えるだけで胸が高鳴った。

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