第4話 遭遇


 目の前の光景に言葉が出てこない俺とアリス。すると、背を向けているアレクがこちらを見て来た。


「あ、出来損ないと没落王女じゃん」

「ア、アレク。何をしているんだ‼」


 俺は大きな声を上げる形で言った。


「何って使命を果たしているだけだけど?」

「使命ってなんだよ。何をやったか分かっているのか‼」


 いくらこいつからバカにされてきたとしても、ここまでやばい奴だとは思ってもいなかった。


「あ~うるさいなぁ。雑魚は雑魚なりに黙って死ねよ」


 そう言って、アレクはこちらへ攻撃を仕掛けて来た。その瞬間、左手の甲にある紋章が光出して、力が湧き出てくる。


 そして、アレクの攻撃を難なく躱した。すると、アレクは驚いた表情をした後、すぐに睨みつけるような表情でこちらを見て来た。


「お前、没落王女と契約したんだな」

「……」

「言わなくても今の一瞬でわかるさ。でもな、これは困ったなぁ」


 俺は一歩下がって、アレクを観察する。


「今のことを報告するのに対して、お前たちも重要案件になっちゃったしなぁ」


 すると、両手を叩いてこちらを見つめてくる。


「王女様。出来損ないとなんて契約破棄して、俺と契約をしませんか?」

「な、何を言っているんだ?」

「そのまんまだよ。雑魚より俺と契約したほうが良いに決まっているだろ」


 俺が呆然と立っていると、アリスは首を横に振った。


「嫌です」

「あ~そうですか。じゃあ、死ね」


 アレクがこちらへ攻撃を仕掛けてこようとした時、外から物音が聞こえた。すると、アレクが攻撃を辞めて剣を鞘にしまった。


「ッチ。時間切れかよ。良かったな」


 何かの魔道具を使って、この場から消え去った。


 アリスの方を見ると、ホッとした表情をしていた。


「時間を稼ぎますので、外の人たちが来る前に第三王子を探しましょう」

「はい」


 アリスが幻術魔法をかけて、時間を稼いでいる内に俺たちは第三王子を探し始める。だが、一向にどこにいるのか分からない状況に陥っていた。


(どこにいるんだよ)


 もう時間もない。そう思っていると、左眼が熱く感じて、ある場所だけ魔法が唱えられているのを察知する。


「あそこ」

「え?」


 俺はすぐに魔法がかかっている場所の目の前にたどり着き、剣で斬る。すると、魔法が解除されて、小さな部屋が見つかった。


(なんで俺は斬れるとおもったんだ?)


 いや、今はそんなことどうでもいい。アリスと共に小部屋に入ると、そこにはエルフの男の子が眠っているのを発見する。


「アリス」

「これを使えば目覚めるはず」


 そう言って、小さな小瓶に入っている液体をエルフに飲ませると、十秒も経たずに目が覚めた。


「あれ、ここは?」

「助けに来ました」


 アリスの言葉に睨みつけてくる第三王子。


「人族なんて信用でき…」


 そう言いかけた時、幻術魔法が解けて、大柄な男性がこちらへ走って来た。


「捕まえろ‼」

「やばい」


 俺とアリスが呆然としていると、第三王子が現状を理解したのか、魔道具を壊すと、この場から俺たちが消え去った。



 目を開けると、あたり一帯が森林であった。


「え、ここは?」

 

 俺の言葉にアリスも首を横に傾げる。すると、第三王子が頭を下げて来た。


「疑ってごめん」

「いえ、助けてくれてありがとうございます」

「それはこちらのセリフだよ。俺はエルフ国第三王子、リッド・ウェーバル」


 俺とアリスはリッド王子の続くように挨拶をする。


「ちょっと待って」


 リッド様がそう言うと、何か魔法を唱え始めて、また移動させられた。そして、目を開けると、そこは森林の中に建物などがあった。


「ようこそ、エルフ国へ」


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