【カクヨムコン11】修羅戦乱闘劇:イクサバ・アスラは修羅の道をゆく~天上に届け、天下に響け英雄の歌~
ココカラ ハジメ
The Show Must Go On
プロローグ 開幕。修羅戦乱闘劇!
▼
古風な劇場の前。
開演の準備をする女性の元に子どもたちが近づいてきた。
『ふんふ~ん♪――――ん? 君たちもう来たの? 開演の時間はまだ先だよ』
『待ちきれなかった? アスラの話が早く聞きたいって?』
『しょうがないなぁ。お客さんは君たちしかいないけど少し語ろうか』
『ん、んっ。あーあーテステス。よし、声の調子はOK』
『むかーし、むかし……って。この語り方は古臭いかな?』
『え? もっとテンポよく話せ? 最近の子はせっかちだね~』
『じゃ、気を取り直して』
『これから語るのは、ただの女の子が必死に生きた物語』
『
『みんなの希望を小さな身体に背負い、星になった』
『そんな少女が運命に抗い、闘い抜いた。笑いあり、涙ありの英雄譚』
『さあ、始めようか――――イクサバ・アスラの物語を!』
『天上に届け、天下に響け! 世界を救う英雄の歌!
『【修羅戦乱闘劇】! 第一幕【修羅の修羅による修羅のための戦場】!』
.
『修羅と呼ばれた少女の伝説、ここに開幕!』
▼
≪災厄の時代≫
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『――――あれ? アスラはなにをしてたんでしたっけ』
かつて栄華を誇っていただろう朽ちた街並み。
建物を侵食するように生える『星光』を秘めた、煌めく鉱石。
連続する崩壊を告げる音。危険に満ちた異界の景色。
宙に浮いた半透明な少女――――イクサバ・アスラはそれを見下ろしていた。
『あれ、あれ? なんでアスラはこんな高いところに浮いているんです? それになんか体が透けてる?』
『アスラ』と自分の名を呼ぶ少女は思案する。
この状況はなんなのか?
自分は今まで何をやっていたのか?
思考が頭を駆け巡り――――ガァァンッ!
ひと際大きな音が彼女の思考を妨げる。
音のする方向に目を向けるとそこには――――
『うわぁ…………なんかこわいのがいます』
「――――ァァ、ガアアアアアアアアアアアァッ」
天に向かい咆哮する『獣』がいた。
その『獣』は二足歩行で小柄。
全身を覆うボロボロになった
一瞬、人間か?と思ったが――――否定する。
『獣』の振るった拳が、高層建築物を次々に倒壊させているからだ。
明らかに人類が出せるはずのない人外の
拳と建築物の間には、原型がわからないほどグチャグチャになった怪物の死体。
とうに命が尽きていると分かる無残な姿だが、『獣』は一心不乱に拳を下ろし続けていた――――怒りと憎悪の
そして、強化防護服の動力は切れているのか、駆動音が聞こえない。
つまりは、装着する意味がない重りだ。
装着者は強化防護服を脱ぐ考えに至らないほど狂乱してた。
まさに理性なき『獣』
アスラはコレが人間だと思いたくなかった。
『こっわぁ……――――ん? あの強化防護服は見覚えがありますね。なんか思い出しそう――――』
――――アスラはやればできるんだから、もう少し頑張れ。
『ッ!?』
彼女は声が聞こえた気がして、バッと周りを見回す。誰もいない。
いるのは眼下の恐ろしい『獣』だけだ。
『え? いまのは――――』
――――また訓練さぼってんのか。嬢ちゃんは丁寧な口調だけど真面目ってわけじゃないよな。
『また、聞こえて――――』
――――まあ気持ちは分かるがな。こんな精鋭とは名ばかりの不良部隊に補充要員で配属されて不貞腐れる気持ちは。
――――しかも最前線にね。『適正』は高くても練度は足りてないみたいだし、若すぎる…………こんな年端もいかない女の子を戦場に出さないといけないくらい本国は追い詰められてるのか…………
――――不甲斐ない大人たちでゴメンな。君みたいな子どもの未来を守るために僕たちは戦ってるのに。
『あ……やまらないでくだ……さい』
震える口で虚空から聞こえる声に応える。
応えてくれる相手なんてもういないのに。
『アスラをひとりにしないでください…………』
――――ん? ヤバくなったらどうするかって? そりゃあ決まってんだろ。さっさと逃げんだよ。俺たちは臆病者だからな。はっはっは。
『うそつき…………誰よりも勇敢でした。――――最期まで』
記憶が少しづつ繋がっていく。
聞こえてくる幻聴は彼女が過去に交わした会話。
それは大切な仲間たちとの思い出。
逃げずに勇敢に戦い、散った。もう会えない人たちとの記憶だった。
その事実に胸が締め付けられ涙が頬を伝う。
――――ああ……ありがとな。頼み聞いてくれて……。やっぱ、嬢ちゃんは歌がうまいなぁ……。こんな戦場じゃなくて……平和な……世界で聞きたかっ…………た……な……。
『歌いますッ。いくらでも歌うから……だから…………ッ』
いかないでッ。置いていかないでッ。
嗚咽で言葉にならない声を心の中で叫ぶ。
『――――ぐす、ひっく。もしかして走馬灯でしょうか? アスラはもう死んでいて、今の際に見ている夢なのでしょうか…………』
自分の姿を確認する。
その姿は透けており、手のひらを空にかざす。
手は透過してその向こうにある異界の空――――『極光』に輝く空が見える。
彼女はそんな体質ではないので、結論はひとつ。
自分は死んだ――――それが彼女の導き出した答えだ。
悲嘆はない。むしろ納得した。
彼女がいた場所は、いつ散ってもおかしくない過酷な戦場だった。
数多の勇士が護国のため命を捧げた場所だ。
「自分の番がまわってきただけ。やっとみんなの元にいける」
そう彼女は心の中で呟く。
――――撤退? 退かねぇよ……退けねえんだよッ! こっから後ろはオレたちの世界だ。通したら汚染されるぞッ。【
――――故郷を守りたいヤツは覚悟を決めろッ。思い浮かべろッ、家族の、恋人の、友人の、大事なヤツの顔をッ。そいつらの明日を、未来を繋ぐ為にここで命を燃やし尽くせッ!
――――【
『ッ!? そうだ【
アスラは幻聴の声で思い出した。最優先事項を。
それは、彼女の故郷である世界と異世界を繋ぐ、忌まわしき『道』
【
異界から這い出ようとする『怪物』の排除。
それがアスラに与えられた使命だった。
焦燥に駆られるまま【
そこには――――
『あ、ああ……そんな――――』
立ち昇る黒煙と
高く積まれた骸の山。
墓標のように並ぶ
かつては前線基地だった残骸跡。
地獄のような光景だった。
奥には渦巻く巨大な空間の歪みがある。
それが【
最悪の想像が浮かぶ。
侵攻された――――蹂躙される故郷を幻視した。
圧倒的に絶望の状況でも最悪は更新される。
さらに怪物の群れが【
戦闘続きで疲弊した故郷が抑えきれないほどの大群だ。
『やめてくださいッ。そっちにいかないで下さいッ!!!』
手を伸ばすが、いまの彼女に止める
『お願いッ!!! やめてッ!!!』
悲痛な叫びをあげるが、いまの彼女の声は届かない。
『やめろッ…………』
怪物たちは【
『いくなあああああああああああッ!!!』
直後――――響く、震動。爆砕音。怪物たちの断末魔。
轟音とともに地面が爆ぜ、怪物たちを木っ端微塵に吹き飛ばした。
粉塵と怪物たちだったモノが高く舞い上がる。
『……………………え?』
アスラはなにが起こったのか分からず、目をパチパチさせる。
舞い上がった土煙が晴れ、爆心地の中心に立つひとつの影。
それは暴れ回っていた、壊れかけの強化防護服を纏う怖い『獣』だ。
「ウルアアアアアアアアアアアアアアァッ」
押し寄せていた怪物を威嚇するように咆哮した『獣』の姿に、アスラは目を開いて固まる。
恐怖したからではない。
限界を迎えて剥がれ落ちた強化服の下から現れた姿に驚愕したのだ。
その姿はまるで――――
『え? アスラです?』
自分と似た顔の、鬼のように険しい形相をした『修羅』だ。
いや、アスラそのものだった。
『え、え? え~~~???』
凶暴な自分の姿。勝手に動き回る身体。身に覚えのない人外の力。
アスラの頭に
彼女は混乱してる間にも討ち漏らした怪物たちが動き始める。
怪物たちの狙いは【
互いに譲るつもりはなく。睨み合い。
そして――――
果て無き闘争が始まった。
▼
『それから――――ん? アスラが二人いるのはなんでかって?』
『それは先の話で語られるよ。慌てない慌てない』
『じゃ、続けるね』
『――――アスラが再び表舞台に戻るまで百年もの長い月日が掛かりました』
『そんな気の遠くなる時間を異界にたった独り残された少女は』
『闘って、闘って、闘い続けました。その身を異界に
『故郷を守るため。未来を繋ぐため。【
『彼女が過ごした時代ははるか遠くに去り。未来の世界は激変していました』
『元の世界に戻れたのは偶然が重なったから。奇跡のような偶然が』
『そして――――運命と出会うことが出来たから』
―――――――――――――――――――――――――――――――
拙作を読んでいただきありがとうございます!
もしよかったら、【第6話 響け戦歌、唸れ豪拳。『英雄』はここに在り】
まで読んでみてください。
この物語がどういったものか分かると思います!
少しでも面白そう!先が気になるかも!と思っていただき
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