第5話 「天下ノ平穏ハ、何時ノ事ニテ候ヤ…」 天と地と(PC88/98・光画堂/コナミ・SLG)
※本作はPC98版と88版があり、システムや難易度に差異がある様ですが、以下の記述は基本的に私がプレイした事のある88版に準拠しております(98版については、雑誌等での情報を元に付記)。
角川の同名映画を題材として作られた本作は、イベントや登場人物に多少その影響があるものの、知らずとも「上杉謙信を主人公とした戦国SLG」として充分楽しめる出来栄えでした。
そして良くも悪くも独特の癖があり… 未だに記憶に残っております。
本作の特徴的な事としては、大きな面では、強制イベント等を介してしばしば史実に沿って行動させられるという事や、メインと言うべき戦闘が、領内の城主達を招集し、その部隊を編成し軍団を結成して行うという、光栄等他のSLGとはかなり違うタイプのものであったこと。
小さな面でも、「他勢力と戦うには宣戦布告が必要」「武将が原則死なない(但し88版のみ)」「謙信が毘沙門堂に篭ると、その季節のみ軍団の戦闘力UP(但し98版では一回使うごとに少し寿命が縮むらしい)」など、色々特色が。
ただ、「癖がある=悪い」という訳では無論無く、特に軍団制の戦闘は、軍の士気が編成期間に比例して低下していく為に、目的達成や部隊の消耗なども考慮しつつ、適宜解散や再結成が必須と結構頭を捻らねばならない、面白いシステムだったと思っております。
まあ史実通りの年代になると、例え軍団を率いて行軍中だろうと、軍を解散して問答無用で上洛させられるなどのイベントの強制ぶりには、ちと泡を喰ったりもしましたが(なお、上洛中も敵は当然の様に攻め寄せてくるので、指を加えて蹂躙される様を見る羽目に…)、 まあその辺りも個性といえば個性でしょうか。
なお、本作で尤も印象深いものといえば、やはりそのエンディングと言えます。
流れ上、一向宗・武田・北条らと抗争を繰り広げた挙句、最終的には将軍義昭の要請を受けて織田信長との戦いに挑む事になるのですが… 激闘の末に岐阜城(MAPが中部地方までのため、安土城は存在せず)を陥として信長を討ちとった後に流れる古文調の後日談が、もう何ともらし過ぎて。
美辞麗句の部分を排してざっと大意を述べれば…
「尾張から出た織田信長という者が、都で威を振るい、将軍を逐い帝を操るなど悪逆非道の限りを尽くしていたが、謙信公によって成敗された。だが謙信公は些かも私心が無く、将軍義昭を迎えて幕府を再建すると、関東管領としてその政治を補佐しています。しかしながら世の中には幕府に従わぬ大名も未だ数多く、かくして謙信公は今日も各地を飛び回り、逆臣達を討伐しております」
といった感じの内容であり、それまでの苦労に見合った達成感とは無縁ながら、実に謙信らしいリアルな後日談だと、苦笑とともに納得してしまった覚えがありました。
総合評価 … ★★★☆(独特な戦闘システムと、ある種味わい深いEDには一見の価値あり)
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