秋の日

星るるめ

とびたい

飛びたい


飛べるかな


飛べない種類だけれど


飛べるさ


羽があるのだし


飛ぼうと思えばすぐにでも


飛び立てる


そのはずだったが


飛びたいと


どんなに思っても


どんなに願っても


飛べなかった


飛べやしなかった


飛べなきゃ意味がないからと


僕の羽は羽根になり


そのうちそれも


消えてなくなった


飛べたら 


病にかかったろう


飛べたら


捕まり食われたろう


飛べないことは


幸せなのだと


そう自分に言い聞かせ


飛ぶという概念すら


失くしてしまった秋の日


とつぜんに


空へと放たれた


足掻く為の羽もなく


落ちてゆく身体


瞬く間に地面に


叩きつけられる身体


その時初めて


僕は、とんだんだ


いつか望んだよりも


ずっと高くて遠くへと


跳んでゆけたんだよ

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