第16話 ダミノルさん(;´༎ຶД༎ຶ`)ネゴる

※執筆に関して訓練中の身ですので、何かご指摘があればよろしくお願いいたします。


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 比較的ゆっくりではあるものの、俺たちは着実に4階への登り階段を目指して前身していた。

 これはダミノルさんの活躍かつやくが大きい。さすがは体高10メートル級のロボットだけあって、例の回転しないチェーンソーのような装備で迷宮の壁をまたたく間に切り刻んでいった。

 つぼを逆さにしたような4本脚の機体が黙々と進んで行く。


「ダミノルさんすごいな……壁が無くなるのがあっという間だ」


 迷宮の天井までは20メートルあるが、通路の壁は10メートルしかない。

 等間隔で太さ10メートルもある円柱が天井を支えており、通路の壁は20メートルの間隔をあけて立つそれを繋いでいた。

 柱同士をつなぐ壁は10メートルしかないため、ダミノルさんとしては丁度良かったらしい。

 切り出した厚さ3メートルの壁は4本の腕の内の2本に引き出されて、空気に溶けるように消えていった。


「私としては非常に助かっている。この壁は普通の玄武岩とは違ってな、鉄やバナジウム、チタン、ニッケル、マンガンなどの金属を含んでいるのだ。本当は壁も全部持っていきたいが、それはほとぼりが冷めてからにした方が良いだろうな」


 マーちゃんは全部持っていきたいらしかった。ウォーダナ師を倒すことはマーちゃんなら出来るだろうが、それをやってしまって良いのか非常に悩む。

 短命の者にとって、マーちゃんの境地に至れというのは酷な話だ。俺でも想像することしか出来ない。

 実力者の説得に必要なのは相手の経験に基づく実感を与えることしかないのではないだろうか。そしてそんな経験は相手には無いだろう。


 しばらく通路を進むと、とある通路でようやくアイアンゴーレムを発見した。30メートルほど先にいる。


 このアイアンゴーレムがまたダミノルさんや黒クモさんにそっくりなのだ。

 壺を逆さにしたような胴体には4本の脚がついていた。昆虫のようだがN字型だ。

 胴体には2本の格闘用の腕がついており、首は無いものの正面には『('A`)』というような顔がついていた。

 全高は5メートルというところか。人間が相手なら申し分ない番人だった。


「マーちゃん、アレが話してたアイアンゴーレムだ。」


「良いデザインだ。製作者と一度話をしてみたいものだな。安定性と利便性を求めるのは当然のことだと考える。ちょっと行って来て話をしてくる」


 そう柔らかいアルトボイスで答えると、空中を泳いでアイアンゴーレムの近くまで飛んで行ってしまった。雲間から降り注ぐような光を周囲に放射しながら。




 マーちゃんがアイアンゴーレムの直前まで行き、何か光る粒子を浴びせかけたところ、しばらく身体を揺するだけだったアイアンゴーレムは右腕をマーちゃんに叩きつけた。


「マーちゃん!」


 俺は叫んだが杞憂きゆうだったと言うべきだろう。

 ゴーレムの右腕は2つの肘関節を持っている。マーちゃんを殴った右手から1つ目の関節の間は90度に折れ曲がっていた。

 それにもかかわらず上げられたアイアンゴーレムの左腕を止めたのはダミノルさんの手だった。


 『(;´༎ຶД༎ຶ`)』な顔と『('A`)』な顔が見つめ合うこと数十秒。身長差は倍もあるが、何かが両者の間を行き交った気がしたのは錯覚さっかくだろうか。

 ダミノルさんが相手の腕を離し、アイアンゴーレムは腕を下げた。


「私としては己の未熟さを認めざるをえない。納得しがたいがな。メンテナンス設備もあって、今よりも強力な存在になることを約束したら殴られた。

ダミノルさんが伝えたのは『全員で一緒に来ないか?』だ。なんという連帯感だ」


「マーちゃん。多分アイアンゴーレムは今の自身がそうあることに不満を持って無いんだ。彼らにはアップグレードとか進化って概念が無いんじゃないかな」


 俺はダミノルさんもかつてはそうだったのではないかと思ったが言わなかった。

 彼は『(;´༎ຶД༎ຶ`)』という顔をしているが自分の役割に不満を持っていないんじゃないかと思う。


 とにかくこうして、アイアンゴーレムさん達は時間をおいて全部が集まって来た。

 その間、マーちゃんと俺はその場から移動できなかったが1日なんて些細ささいな時間だ。

 アイアンゴーレムさんは200体もいた。



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※お読みいただきましてありがとうございます。この作品について評価や感想をいただければ幸いです。

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