第20話児童文学「けらけら女と俺」

 🔷登場人物紹介


 主人公


 妖怪けらけら女

 

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 夜の九時頃に俺は駅に着いて、家路を急いでいた。

 街灯が灯る住宅街を歩いてく。今日は月も、雲に隠れているようだ。



 俺が、神社の前を通りかかった時、どこからか、女性の声が聴こえて来た。

 最初は、蚊の鳴くような小声だったが、それは、一気に大音量の不快な笑い声となって空から、降り注いで来た。



『けらけらけら、げらげら』

「何だ、これ?うるせえ!」



 俺は、思わず耳をふさいで声のする方を振り返った。

 すると……

 何と 着物姿の巨大な中年女性が俺を見下ろして、ゲラゲラと笑っていたんだ。



「うわっ!なんなんだ、あのでかい女は!」

『けらけらけら、げらげら! ヒュッ!』



 けらけらと笑うでかい女は、馬鹿笑いのし過ぎで、唾が器官きかんに入ったらしく激しく咳き込み始める。


 これはチャンスと、俺は逃げようとしたが。女性のあまりの苦しそうな姿に心配になってしまった。



「ああ! なにやってんだ。もう」

 しばらく、様子を見ていたが。だんだんと落ち着いて来たみたいだ。


「おい、あんた大丈夫か?」

 俺は、思わずでかい女性、けらけら女に声を掛けた。



 すると、けらけら女が俺の方をじっと、熱っぽい視線で見つめて頬を染めている。

 なんだ、盛大にむせたから、顔が赤くなっているのか?



 そしたら、突然投げキッスをされた。

 翌日から、けらけら女は、普通サイズの女性になって俺に付きまとうようになった。



 🔶けらけら女

 町中や町外れを一人歩いていると、現れる。

 着物を着た巨大な中年女性の妖怪で、垣根越かきねごしに、けらけら笑うとされる。



 「けらけら女と俺」-終わり-

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