第27話

ハムとチーズのサンドイッチを食い入るようにじっーと眺める和真さん。

「えっとカラシは入ってません。結お姉さんから苦手だって聞いて………あっ、違う。結さんだ。和真さんのお姉さんを馴れ馴れしく呼んですみません」

ステンレスボトルをぎゅっと握り締めた。

「彼女がそう呼んでって四季に頼んだんだろう?」

「はい」コクりと小さく頷いた。

「俺の姉、ちょっと変わってるだろう?お節介やきというか、世話好きというか………」

「そんなことないです」

ぶんぶんと首を横に振った。

「僕一人っ子だから、結お姉さんに本当の姉だと思って接していいよ。遠慮せず甘えていいよって言われたときすごく嬉しかったんです。櫂さんにも良くして頂いて………二人に会わせてくれた和真さんには感謝しても仕切れません。本当にありがとうございます」

「感謝するのは俺の方だよ」

右手でハンドルを握り、左手でサンドイッチを頬張りながらゆっくりと車が走り出した。

「俺より可愛い弟が出来たって二人とも大喜びしている。あんなに嬉しそうな二人の顔を見るの久し振りだから、俺まで嬉しくなった。四季、これからもずっと俺の側にいて欲しい」

「えっと……」

熱を帯びた眼差しでチラッと横目で見詰められ、全身が熱くなるのを感じた。

頬も、ぽわっと熱くなる。

「顔、真っ赤で可愛い。見てて飽きないよ」

視線が合うなり、彼がふっと微笑んだ。

どうしよう。胸がドキドキする。

まともに顔、見れないよ。

耳まで熱くなるのを感じながら、下を向き頷くだけで精一杯だった。

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