初手、しくじりました。
そ、そうだ。
ちょっとラノベのテンプレ感が否めないけんども……んしょんしょ、下着だけになって、fレンジ君の扉を閉めて、上に服を乗っけて、と。
●
「「アイラっ!」」
「あ……お父さんお母さんごめんね。怖い夢見て……きゃああああああ! お父さんのバカああああ! 私、着替え中!」
「おおおお?! す、スマン!」
お父さん、慌てて部屋の外に出てった。よしよし、第一段階成功!
派手に叫んだのは只の作戦で、実際は恥ずかしくもなんともない。今のカッコは厚手の布製で、あっちの世界で言うキャミソールとショートパンツだから精神的防御力は高いのですよ。
とは言ってもごめんなさいお父さん。あとで学校行く前にぎゅうって抱きついて、お父さんは悪くないよアピしとこうかな。心配して来てくれたんだし。
こういう所って本当にアイラの考え方、生き方が身についてるんだなあとしみじみ思う。ダスティとエミルが大好きっていう気持ちは転生に気付く前と一緒、何にも変わらない。
そんな二人には申し訳ないけど、この場は回避だ!
「あら~。昨日の夜お父さんと私のお風呂の時に突撃してきたのはどこの誰だったっけ?」
「…………」
初手、しくじりました。お父さんに背中洗ってもらったんだった。こっちでは全裸で浴槽に入るという習慣がないとはいえほとんど毎日一緒にお風呂に入って、きゃあとかないわー。
「アイラの叫び声が聞こえたから慌てて来たのに。で? 怖い夢見たんだっけ? 大丈夫?」
「ごめんね、も、ももももう大丈夫」
「ならいいわ。……あらあら、もう。机の上に服を脱ぎっぱなしにしちゃってからに。山になってるじゃないの」
マズイマズいマズい!
「あー! 机の上、触っちゃダメ!」
「あら」
「ちょっと今日、い、いつもとは違うカッコで学校に行きたいの! そのままにしといて!」
「…………そうなの? 何で?」
「何でも! お母さん、仕込みあるんでしょ? ほらほら」
「あららら? もう、朝ごはんできてるから早く来なさいよ?」
お母さんの背中を押して、部屋の外に押し出す。あ、お父さんが扉の横でションボリしてる。
「お父さん、ビックリさせてごめんね? もう大丈夫!」
「そうか。アイラも年頃だし、お父さんが気をつけないとな。さあ、早く降りておいで。ご飯を一緒に食べよう」
お父さんが背中を丸めて階段を下りていく。
胸が痛い。
苦しい。
ごめんね。まだ何も説明できないから、もう少しだけ時間をください。
「お父さんはお母さんが見とくから大丈夫。でも後で声くらいはかけるのよ? アイラの叫び声を聞いた時のお父さんの反応、すごかったんだから」
「うん」
「さてさて、お母さんも行くわね」
「はーい」
セーフ!
何とかなった!
号外!
Topic!
頑張ったぞー!
「そうそう、アイラ」
「なあに?」
「隠し事、悩み事は身体に毒よ?」
「……」
バレバレだった。
「全く。私達が何年親をしてると思ってるの?」
「隠し事なんて……えっと……」
「はいはい、そういう事にしといてあげる。机の上とかね」
「……へう」
「危ないことを隠してるんだったら許さないけどね。ま、そうじゃないんなら、困ったらいつでも言うのよ? お父さんとお母さんが絶対に守ってあげるから」
「…………」
ヤバい、泣く。何も言えずに、お母さんの手を握る。お母さんが私の頭を撫でてくれた。
「よしよし。早くご飯食べて学校に行くのよ~。机の上はそのままにしておくから、自分で片付けること!」
「うん! ありがとう!」
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