第32話 にぎやかになって来た

 各ショップからの伝言によれば大森林から戻る頃には司祭服や印章が完成していることでしょう。とのことだ。


 ◆◆◆


【俺が調味料を探しに大森林の村に行く実況スレ】


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 名無しのスレ主〈同行の騎士が決まりました。何故か全員顔がいいです。乞うご期待!〉


 名無しの令嬢〈ぜひ騎士の写真を上げてくださいませ!〉


 名無しのスレ主〈それには本人の許可が必要ですが、首から下くらいなら許して貰える可能性はあります。無理だったらスマソ〉


 名無しの騎士〈この度大森林への旅にお供することになりました。

この書き込みに使った魔道具は屋敷に一台旦那様が設置して下さいまして、屋敷内にいる者が自由に使えるようにしてくださっているものです。

@スレ主様 鎧を着ていない時の首から下の写真なら大丈夫です〉



 名無しの貴族〈鎧に家門の紋章が入ってるから私服時ならいいよということかな〉


 名無しのスレ主〈御本人の許可が出たので旅の最中は首から下の写真や動画を貼り付けます。うっかりまずいものが映れば画像加工処理をします〉


 名無しの貴族〈おい! 大森林につき合わされるかわいそうな騎士が出てきたぞ!〉


 名無しの貴族〈いや、それより一家に一台使用人にも配慮して高価な魔道具使わせてくれる雇用主が神すぎる〉


 名無しの令嬢〈当家の騎士は食事が美味しいと喜んでいましたのでかわいそうではありません! それと屋敷に魔道具を置いたのはうちのお父様ですわ〉


 名無しの貴族〈どちらの令嬢が分かりませんが、素敵なお父様をお持ちですね! 私と結婚してください〉

 名無しの令嬢〈どなたか存じ上げませんが謹んでお断りさせていただきますわ〉


 名無しの貴族〈即、お断りされてて笑う〉

 名無しの貴族〈号泣〉


 名無しの貴族 〈もしかしてたまに平民みたいな書き込みあるのは屋敷にいる執事やメイドが屋敷用に置かれているやつで書き込んでいるんじゃ?〉


 名無しの貴族〈だいぶんおおらかで優しい職場だ〉

 名無しの貴族〈どんだけ食事が美味いと大森林なんぞまで行ってもいいとなるのだろう〉

 名無しの貴族〈もともとこの騎士は冒険が好きなのかもしれないぞ〉


 名無しの貴族〈そもそも貴族の主人が行けと言うなら従うしかなくないか?〉


 名無しの令嬢〈@私信 お土産のカレー、とても美味しかったですわ!〉

 名無しの令嬢〈わたくしも辛いのも大変美味しくいただけました!〉

 名無しの令嬢〈わたくしも!!〉


 名無しの貴族〈すごい匂わせ系の書き込みだ〉

 名無しの令嬢〈カレーとはどんな料理でしょう? どうやら辛いようですが〉


 名無しのスレ主〈香辛料をふんだんに使った煮込み料理です。引き続きお米という穀物の情報もお待ちしています〉


 名無しの貴族〈素朴な疑問なんだが、大森林にその調味料があると言うのがガセだったらどうするのだ?〉

 名無しのスレ主〈当方は書き込みされた方の良識を信じて調味料探しに向かいますが、最悪獣耳さんとは会えると思うのでそれを希望にします〉


 名無しの貴族〈ポジティブでピュアすぎる。謎に高価なツボとか買わされそう〉


 名無しのスレ主〈高価なツボは売りつけられていませんから大丈夫です〉


 ◆ ◆ ◆


 俺のスレも賑やかになってきた。

 この調子でいつか米の情報も来るといいな。


 その翌日、王弟殿下からは騎士のかわりに魔法使いと治癒魔法師を1人ずつ大森林行きの同行者として派遣してくれると伝書鳥にて連絡があった。


 あ、ありがたい!

 ぶっちゃけクレリックか魔法使いは冒険者ギルドで雇えるかどうか悩んでいたところだ。

 冒険者パーティーといえば前衛に騎士とか戦士、あるいは武闘家。そして後衛に弓兵、魔法使いや僧侶だもんな。


 俺なんか良く言っても商人て感じだし。

 魔力過多を吸収治療できるだけで通常の怪我や病気が治療できる訳ではないから。


 俺達の出発は5日後で、魔法使いとクレリックは転移陣でサクッと時短で来てくれるらしい。


 それから俺はキッチンに立ち、ナスとベーコンのファルファッレ、つまりリボン型のパスタをランチとして作って食べた。

 棒状のパスタがないからリボンを作ったのだ。



「へー、これ、可愛くて美味しいね!」

「ベーコンがいい味を出してるよな」



 そしてランチの後。

 ユージーンが元気に剣の素振りをしているのをたまに横目で見つつも、俺は家の庭の二本のいい枝ぶりの木を見つけ、ボーイスカウトのお兄さんから習ったハンモックを作った。

 ロープと二本の棒があれば出来るやつ。



 日本のようにここは湿気がすごくないから、日陰だと日中でも十分涼しい。

 白い雲と蒼穹の空の下で久しぶりにゆったりとした時間の中でハンモックに寝て、穏やかな午睡を楽しんだ。







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