第4話 ◯◯さん

 ヒニヨルには妖精こどもがいる。

 はじめて出産した時、母親として全く実感がわかず、どう接して良いのか分からなかった。ふと、ある友達がわが子を「◯◯さん」と呼んでいたのを思い出して、新生児の時からしばらくは“さん付け”していた。


「◯◯さん、オムツを替えさせて頂きますね」「◯◯さん、お風呂の湯加減はいかがですか?」みたいな感じ。


 最初は無表情であまり可愛いと思えなかったけれど、段々笑ったり何か話したりするようになって情が湧いてきた。

 二人目の時は、最初から可愛いと思えた。きっと一人目の時はあれやこれや分からない事が多すぎて、心にゆとりが無かったのだろう。


 今も時々、妖精を◯◯さんと呼ぶ。敬語で話をする。それは、ヒニヨルが非常に短気なので、すぐにブチ切れて怒ってしまわないようにする為である。(でも結局毎日怒ってしまう🙂)





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