第18話

「じゃあ、今日もよく眠れますよ。」

 タクヤからのその返答に、少し嬉しそうににこり、と月島は笑む。

 いつもの月島の雰囲気。

 けれども、何となくいつもの月島との距離が極端に縮んだ気がした。

 なにが、どう違うのか。

 物理的な距離は、この部屋に入って、月島に勧められたこの椅子に座った時と変わっていない。月島もタクヤも動いていない。

 物理的な距離の話ではなく。

 何とはなく。

 何となく、月島からほんの少しだけ、馴れ馴れしさが感じられた。

 加え、タクヤはこのカウンセリングを受けると、その途中で頭がぼんやりしていたことを、月島に話したことはない。カウンセリングを終えると、そのぼんやりとした感覚は無くなり、すっきりと清々しい気持ちで満たされていた、ということも話してはいない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る