ばあちゃんの見たもの
五日野影法師
第1話 ばあちゃんについて
1993年当時、俺は家族と一緒に熊本市に住む大学生だった。大学には実家から通学していたがバイトと部活に明け暮れている。ばあちゃんは母の実母である。実家は熊本と宮崎の県境近くの多良木という所だ。それはそれは山奥で、人吉市の更に奥にあり直線距離だと大した事は無いが、当時は高速道路が開通していなかった。車で行こうとすると球磨川と九州山地に挟まれた細い二車線道路を縫うように走って半日かかる。ばあちゃんはそこで息子である叔父家族と暮らしていた。家事と畑仕事をする病気とは無縁の健康老人だ。今回は久しぶりに熊本市に遊びに来たのだ。たぶん楽しみはパチンコだろう。当時は全国的に流行っていた。田舎では人目があってあまりできないらしく、こっちでこっそり遊んでいるらしかった。
ばあちゃんは私が小さい頃から可愛がってくれた。外孫で一番上の男の子だということもあるだろう。いつもお土産に鮎寿司と栗弁当を買ってきてくれた。
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