中学生くらいのとき、バスに乗っていたときに体験したこと。

その日は夏で、とても暑かった。

バスの中は冷房の効きが悪くて、しかも私が座った席の日除けが壊れていて、日差しを遮ることができなかった。

暑さを紛らすために窓の外を見ていると、あるバス停にしゃがみこんでいる女の子がいた。

私と同じか少し上くらいの10代の女の子が、じっと下を向いてうずくまっている。真っ赤なコートを着て。

気分が悪いのかな、乗らないのかなと心配するうちに、バスは発車してしまった。

少し走るうちに、さっきの子に感じた違和感の正体がわかった。

なぜ真夏に、コートを着ていたのだろうか。

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