第18話

バイトも用事もない休日。

 僕は自分の部屋のベットに寝転びながら小山さんから貰った古本を読んで時間を過ごしていた。

 小山さんがくれる本は面白い本ばかりで外れがない。だから、休日はほとんど読書で一日が終わる。

 ドンドンと、ドアを強くノックする音が聞こえる。

「真一」

 母だ。ノックするならもう少し優しく叩いてほしい。

「なんだよ」

「入るわよ」

 母は返事も聞かずにドアを開けて、部屋の中に入って来た。

「返事してないのに入ってくんなよ」

「別にいいでしょ。変なことしてる訳じゃないんだし」

「まぁ、そうだけど。それで何だよ」

「アンタ、来年から大学どうするの?」

「考え中」

「早く決めなさいよ。今、無駄金払ってる状況なんだから」

 母は遠慮と言う言葉を知らない。言いたい事をオブラートに包まず言ってくる。

「う、うん」

「本当に分かってるの?」

「分かってるよ」

「20歳なんだからちゃんとしなさいよ」

「うるさいな。分かってるよ。早く部屋から出てくれよ」

 僕は強い口調で言った。

「もう」

 母はドアを強く叩き閉めて出て行った。

 大学の事は言われなくても考えようとしている。けれど、結論が出ない。いや、出せないのだ。自分自身の将来の事を考えると自分自身が自分自身を拒絶しようとする。何度試みても、何度も同じ結果になってしまう。僕は僕自身が怖いのだ。どうしようもなく情けないと思う。けれど、その情けない自分に打ち勝つ事も出来ない。お手上げだ。どうすればいい。どうすればいい。また、僕が僕を拒絶しようとする。

 勉強机の上に置いた携帯電話が鳴る。

 僕はベットから起き上がり、携帯電話を手に取り、画面を確認する。

 画面には並川からのメッセージが表示されていた。

 僕は携帯を操作して、アプリを起動させ、メッセージを見る。

ー並川愛花です

ーどうも

 僕はメッセージを返す。すると、すぐに返事がきた。

ーいきなりなんだけど、お願いしたい事があるんだけどいい?

ーなに?

ー話聞いてほしいの

ーいいよ。言ってみ

ー文章じゃ説明しづらいからさ。会って話さない?

ーいいけど。いつ?

ー明日ひま?

ー暇だけど

ーじゃあさ。明日の15時に泉丸書店の近くの公園っていうのはどう?

ーいいよ

ーじゃあ、それで

ー了解

 画面には「ありがとう」のスタンプが表示された。

 僕は「どう致しまして」のスタンプで返事をした。

 そして、携帯電話を机の上に置き、再び本を読み始める。

 数ページを読み終えた途端、先ほどの並川からの連絡が気になり始めた。話してなんだ。

何で僕なんだ。様々な想像が沸いてきて不安にかられる。

 僕は本を閉じ、明日何を言われても対処出来る様に様々なシチュエーションを想像して、それに対する答えを考え始めた。

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