第14話 スフィア基準に学ぶ~命を守ってからが本番

 スフィア基準という言葉をご存知でしょうか?

 恥ずかしながら、斯く云う私も全く知りませんでした。今回の記事を書くに当たって調べている最中に知った言葉です。

 こんなものを書いておきながら、自分の知識の浅さに恥じ入るばかりでございます。皆様も私の記載が間違っておりましたら、遠慮無くコメント欄にお寄せください。


 ○ スフィア基準とは?


 『スフィア基準』は、国際赤十字などの関係機関共同で25年ほど前に作られたもので、アフリカ・ルワンダの難民キャンプで多くの人が亡くなったことを受けて検討、策定されたものだといいます。

 これは、紛争や災害の際の避難所の環境について、『最低限の基準』を考慮し定めたものになります。

 ───1人あたり必要な居住スペースは、最低3.5平方メートル。トイレは20人に1つの割合で設置、さらにその男女比は1:3、などなど、その項目は多岐にわたります───


 ショッキングな表現ですが、東日本大震災等における災害時の日本の避難所は、中東等の紛争難民キャンプにも劣る環境だったと、国際機関の専門家は話しています。

 具体的な数字を出しますと、熊本地震の際に地震での建物の圧潰あっかいなどの原因で直接亡くなった方が50人ほど。対して、『震災関連死』と呼ばれる避難後に亡くなった方は200人以上(うち、避難所内や車中泊を経ている方は45%ほどと見られております)にも上るというデータがあります。


 詳しい比率や内訳はわかりませんでしたが、東日本大震災では実に3700人以上もの人が避難後に亡くなっている(関連死と見られる)という報告もあります。


 せっかく助かったのに、その後の生活環境の悪化で亡くなってしまったのでは救われません。しかし、これまで述べた災害対策は個人における対策であり、避難所での環境の改善と構築、これは一市民の身でどうにかできることではないのかもしれません。行政側の動きがなければそれに助力することもできないのです。


 しかし、諦めてはいけないとも思います。


 事は人命に関わる事柄、知ってしまった以上は見過ごすことはできません。

 我々に、認められた権利にひとつに『投票権』というものがあります。

 まず、投票に参加すること。そして、その際に防災に対する知見や政策を持っている候補者に対して投票するというのも立派な防災行動だと思います。


 残念ながら我が村のように、立候補することが老後の名誉職だと思っていたり、住民もそれに慣れきっていたりしていたら、自浄作用は望むべくもないことかもしれません。


 しかし、災害の中に人災ともとれる部分があるのなら、のです。


 人災は、災害前に始まっている。


 そして繰り返しになりますが、普段から考えて備えること、これ以上の対策はありません。

 この事を念頭に置いておけば、明日からの暮らし方が、少し変わるかもしれません。そうなることを願いつつ──。

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