第53話

 感想に、タイトルを触れるて書くのは、作品の一部だと思ったから。読む前と読み終わった後では、タイトルから受ける印象は随分と違うことに気付いたのです。

 小説のタイトルは作品全体を表しています。

 優れた作家は、タイトルに深い意味を込め、読者が物語を通じてその意味を発見していく過程を楽しめるよう工夫しているのだと思います。

 長いものもあれば、短いものもありますが、多くは物語のテーマや中心的な要素を凝縮して表現しています。

 読み進めるにつれてタイトルの意味が徐々に明らかになり、読後に全体像がはくできると、「そういう意味だったのか」と思わず声を上げたくなります。

 また、優れたタイトルはいろいろな解釈ができるものです。すべてを読み解くことはできないかもしれないけれど、読み終わってあれやこれやと考えていると、タイトルの新たな意味や深みに気づくことがあります。

 タイトルの付け方は、大きくわけて二つの方法があります。

 一つは作中から選んで付ける方法。

 もう一つは作品外から持ってくる付け方です。

 多くは前者の付け方をしていて、タイトル回収を心がけている作品もあります。

 タイトルはオチでもあるので、作中のものを使うことで、まとまりが生まれます。

 つけやすい、というのも利点です。

 難しいのは、作品外から言葉をもってきてタイトルにする方法です。

 どちらかといえば、この方法で付けられたタイトルは、読者の興味を引きつけ、物語への期待を高める役割があります。

 カクヨム甲子園の作品は、多くは前者のやり方でタイトルが付けられています。

 でもたまに、後者のやり方でつけられた作品に出会います。もちろん、中間選考作品の中にもみることができます。

 作品を読んでも、なぜこんなタイトルなのだろうと、悩んだものもあります。うんうんと考え、あるときパッと意味がわかったとき、全身がゾクゾクっと震えてきます。そういう意味だったのかと、宝物を発見したときの喜びに似ていて、思わず小躍りしたくなります。

 今日もまた、そんな作品に出会いました。

 いやはや、凄いな高校生は。


 残り80作品。ロングは半分を読んで書き終えました。

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