夜更けの目覚め
カタカタと窓を叩く風の音。
垂れ下がる分厚い布すらこえて聞こえる音は風の強さを示している。
火傷を治療され、麦と豆のどろりとしたスープを飲まされてソファーに潜り込んだはずだ。
ちょっと油炒めを作ろうとしただけだ。
確かに油があんなに弾けることも燃えだすことも驚いたが。
ああ。
本当にすごい勢いであの小娘が飛び込んできて。
ギョロッとみひらいた大きな目で私を瞬きもせず見ていた。
言葉を探す素振りを見せつつ、ああ、いくつか言葉を噛み殺しているのが察せられた。
「……バカ。ほんとバカ。命知らずにもほどがあるでしょ。え? なに? 都落ちは死に値するっていうの?」
なかなかに厳しい物言いだった。
「死ぬつもりなどない。ひとりでスローライフぐらいできるはずだ」
ゆらりと小娘の緑の髪が揺れ、ガラスのように透明感のある眼球が少しばかり瞼に隠される。
「浴槽であわや水死。厨房を爆破しかけて爆死、焼死。昼過ぎにこのローレンス邸についてすでに二回は死にかけてますよ? 故意じゃないならもう少し警戒した行動をなさるべきです。旦那様」
荷物を収納から出して押しつぶされかけたことは黙っておこうと決めた。
「今後は気をつけていくさ」
視線をはずしつつそう嘯いてみると小娘は『ハッ』と鼻で笑った。
「ニューが監視させて頂きます。お屋敷を破壊されるわけにはなりませんから」
さすがに反論できなかった。
「しかし、ひとりで生活できる事を実証するつもりだ」
「それはかまわないのでニューに援助させて頂けるとよいのです。ゆっくりおやすみくださいね。朝は厨房で待ち合わせでよろしいですね」
厨房設備の説明をすると小娘言ってた。
ただまだ朝というには早いか。
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