第10話―〝魔女狩りの一族〟
「「天上天下―天淵双滅撃!!」」
奴らは何か喋ろうとしていたのだろうが、そんな間もなく消し飛んだ。死の間際、恐らく、魂を縦横無尽に喰い破られるような、想像を絶する痛みが身体全体を支配したことだろう。
残った者たちも、絶望したような表情を浮かべていた。
「やはり、歯応えのない者ばかりですね」
「もう少し、楽しみたいところだったんだが………」
「じゃあ―僕が相手でどうかな?」
「「ッ!?」」
私たちは同時にその場から飛び退いた。私や姉上クラスになると、魔力探知は常時発動させているのだ。それなのに、真後ろに接近されるまで、ましてや話しかけられるまで気づけなかったのだ。
改めて彼の存在を認知すべく、眼で視認し、探知する。
そして、絶句した。
「……魔力が、無い……!?」
「何……?………貴様、まさか………〝魔女狩りの一族〟……!?」
その言葉に乾いた音で手を叩く彼。
「ご名答。そして君たちが現代の〝紫〟の末裔なら……君たちの親を殺した張ほ―」
刹那、ガキィン!!という甲高い金属音が鳴り響く。私ですら視認できないほどの早さで、奴に斬りかかっていた。そして、そんなスピードでの攻撃を涼しい顔で受けた奴は、どれほどの強者なのか。
「酷いなぁ。まだ最後まで言い切ってないじゃないか。人の話を遮るのは、『傲慢』じゃないかい?」
「黙れ!!貴様が………貴様が、我ら魔女一族を!!我が両親を!!!許さん、絶対に殺す!!!」
「いいね。もっと高めるんだ」
「………?」
私は怒るどころか、絶句して何が何だかわからなかった。2人の攻防は熾烈を極めている中、
私はその外で今しがた奴の放った言葉を静かに吟味していた。
もしや……奴は敢えて姉上の感情を引き出している?それは一体何のために?
そうして考えているうちに、姉上の魔力が消えた。
「陽天剣、
瞬間、熱いでは形容できないほどの熱を発する白焔が、姉上の剣を包み込むように顕現した。だがその
その白焔を纏った得物を奴に向けて振るう。
「うん、中々だ。でも―まだいけるよ」
そうして、軽々と避けたその動きのまま、私に斬りかかってくる。
「クッ……!?」
―重い!?
一撃受けただけでわかる。これは、今の私たちでどうにかなるものではない。だが、姉上の猛攻は続く。
「貴様の相手はこの私だろう!!」
「おっと―ほい」
「グッ!?」
そう言って奴は剣を振り、姉上の頬に傷をつける。
相手にこれでも弄ばれているのを知って、怒りから姉上はかつてないほどに魔力が高まっている。
「……アアアァァ!!!!」
突如、姉上から放たれた魔力波で少し後ずさる。
「姉上………!?」
「きたよ。おめでとう」
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