85. 『ババンババンバンバンパイア』10巻

 百合のお次はBL=ブラッディ・ラブコメで巻き返します!(何を?)



◆『ババンババンバンバンパイア』(10)奥嶋ひろまさ


 アニメ化も好評のうちに完走。この新刊もぜひ2期(希望)で観てみたい内容が盛り沢山です。


 新学期とともに新章開幕。謎のスケバンの正体は案の定、坂本さかもと先生スライディング土下座もやむなしの大物でした。芹澤せりざわ隊長もビビるほどの実力、ダンピールの背景、鬼ムサシの正体……と怒濤の情報開示にめまいすら覚えます。



 パパ活の状況証拠続々で坂本先生がピンチ! あおいちゃん荒ぶりすぎて面白い。頼れるのは大正義ひとくんだけ。そのピュアさは問題児の心の闇にかすかな光を灯したか……?


 スケバンとギャルの邂逅。何気にカオルん家のDV親父は浄化されていました。蘭丸らんまる様グッジョブ。暴力がすべてを解決した稀有な例。



 一方、父に捨てられたおこうの生い立ちは壮絶の極みでした。父への激しい愛憎がバンパイアハンター協会を生み出すまでの道のり。すべてを知った坂本先生が父娘の仲立ちに奮起します。モリラングッズを守るために!


 そんなこんなで、せっかくお膳立てが整ったというのにタイミング! ノンデリ長可ながよしの最低発言で全部ぶち壊し! 坂本先生、自室が戦場にされてかわいそう(笑)。



 長可の下半身が目覚めたというパワーワード。間違ってはないけども! ちょうどアニメでもクライマックスだった兄弟対決が思い起こされます。


 蘭丸登場で森家揃い踏み。叔父は姪っ子に一目で気付いたのに実父ときたら……。父娘ゲンカを見守る蘭丸の余裕に坂本先生(と読者)が胸キュンしてしまう!



 長可は紛うことなきクズ親かもしれませんが、その天衣無縫な生き様は、鬱屈した道を歩んできたおこうにとって新たな指針を示しているとも取れます。


 己の人生は己だけのもの。体を張った教えは娘の心に届くのか。そして、自分勝手に生きた最期が娘に引導を渡されるのは、はたして本望なのか……? 答えは次巻にて。


 描き下ろしは、蘭丸とある人物との出会いを描く、幕末ミニエピソード。薬売りのトシさんといえば、歴史ファンはもうおわかりですね。

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