58. 『キミが吠えるための歌を、』1巻/『ロンリーガールに花束を 樫風短編集』〈単巻〉

 百合は主食なので、毎日頂いても飽きません。



◆『キミが吠えるための歌を、』(1)樫風


 『ロンリーガールに逆らえない』(以下『ロンガル』、読破済み)作者様の最新作です。


 ハスキーボイスがコンプレックスのはる。憧れのボカロP・ユーリはまさかのクラスメイト・優雨ゆうでした、という導入。そつのない第1話はまだ助走部分です。


 嫌な思い出を上書きしよう、と言う優雨のスパダリムーブ。その気持ちに応えて、自らを縛る鎖を解き放つ(演出が良い!)晴のロックな変貌。物語が動き出す衝撃の第2話ですが……最後のはもうプロポーズなんですよ!



 優雨が音楽をやる理由は、生き別れの妹と再会するため。クールなお姉さんっぷりが腑に落ちます。

 相棒兼妹分として奮起する晴は作詞にも挑戦しますが、ひょんな流れで優雨の家にお泊りすることに。二人で共作した新曲を引っ提げて配信に殴り込みだ! というところで続く次巻。


 晴に妹のゆきを重ねる優雨と、そんな優雨の寂しさを埋めてあげようとする晴。美しくもどこか危うさを感じさせる、二人の関係の今後にも注目です。




◆『ロンリーガールに花束を 樫風短編集』樫風


 同日発売、同作者様の短編集です。

 以下2作は、前年に同人出版された『ロンガル』後日譚。再読ですが、改めて雑感を。


◇『marking』

 そらあやの涙目可愛いし、イチャイチャも最高です。ピアス穴でマーキングという、一見カジュアルに見えて重~い感情を感じるのがとても美味。


◇『結局そんなきみが好き』

 こちらはかな×ゆいの後日譚です。受の方がやや主導権を握っている関係性っていいですね。それでいて攻められると弱々になってしまうのが辛抱たまらんですたい。やっぱり赤面涙目は至高。



 以下2作も『ロンガル』関連の描き下ろし。


◇『ロンリーガールに逆らえない more!』

 サブキャラたちのその後を描いた4コマ。運動部コンビ、づるなみは一向にフラグ立ちませんな……。和奏の旧友と妹、そして『ロンガル』物語の発端となった先生もご出演。


◇『不器用な愛情』

 彩花&空も交際3年ですか……倦怠期ですね(前フリ)。和奏&結菜ともども末永く幸せであれ。



 以降、アンソロなどに寄稿された短編の中からピックアップ。


◇『レンズ越しに鬼はいない』

 シンプルにかわいい! 眼鏡っ娘がグイグイいく系なのと、ヤンキー風の娘が中身小動物なところのギャップ×2で尊さも2乗!(謎計算)


◇『ふたりでひとつだから』

 双子モデルに言い寄られるメイクさん。初手ドライから一転甘々のギャップ。双子攻めとは業が深い(歓喜)。観念しなさいな(笑)。


◇『ひとことラブレター』

 隣の席同士でお手紙のやり取り。表情だけで語られるひろさんの内面を想像するとより味わい深いです。最後の「ダメ?」の破壊力が尊みキャパオーバーで爆散しました。香典ください。

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