1577年part4 織田家は一つにまとまるべきだ

信行は自らの決意を新たにし、織田家を再び掌握するための計画を練り始めた。勝家と共に、まずは信孝との直接対話を試みることに決めた。彼の真意を確かめ、信孝が秀吉に利用されるだけの存在であるのか、それとも織田家を真に守ろうとする意思があるのかを見極めることが急務だった。


信孝と対面した信行は、彼に率直に問いかけた。「信孝、お前は今、何を思い、織田家をどう導こうとしているのだ?」信行の問いかけは、信孝にとっても重くのしかかった。信孝は、叔父である信行に対して尊敬の念を抱いており、彼を裏切る気持ちはなかったが、秀吉の強引な手法に引き込まれてしまったのも事実だった。


信孝は、信行に向かって静かに答えた。「叔父上、私は…正直に申し上げて、どうすべきか分からなくなっている。秀吉殿の力は確かに強大だが、私は織田家が一つになることが何よりも重要だと考えています。」


信行は信孝の言葉に耳を傾け、彼の迷いを感じ取った。「信孝、お前が秀吉に利用されていることに気づいているのか?織田家を守るためには、我々が一枚岩となる必要がある。私はお前が心から織田家を思うならば、共に戦うことを願っている。」


信孝はその言葉に深く考え込んだ。秀吉の影響下で力を得てはいたが、自らの意思で織田家を守ろうとする気持ちは本物だった。しかし、秀吉が支配する状況にある今、信孝は自分の行動がどれほど意味を持つのかを疑問に感じていた。


信行は続けた。「お前が本当に織田家を守りたいのであれば、秀吉の影響から抜け出し、私と共に戦うべきだ。我々が力を合わせれば、再び織田家を一つにまとめることができる。」


信孝は信行の言葉を聞き、その決意に感銘を受けた。彼は深く息を吸い、信行に向かって頷いた。「叔父上、私は…私はもう一度考え直してみます。秀吉殿の意図が何であるのか、自らの目で確かめ、織田家のために最善を尽くします。」


この会話を通じて、信行は信孝がまだ完全に秀吉の支配下にあるわけではないことを確認した。彼は信孝に対する信頼を取り戻し、共に織田家を守るための策を練り始めることにした。


勝家もまた、この会話を通じて信孝の心の迷いを感じ取っていた。「信行様、信孝様が本心で織田家を思っていることがわかり、少し安心しました。しかし、秀吉がどこまで動いているかを確認する必要があります。彼がどのようにして織田家を掌握しようとしているのかを見極めなければなりません。」


信行は勝家の意見に同意し、まずは秀吉の動きを探るための情報収集を命じた。家中には、秀吉に対する不満を抱いている者も少なくないことを知っていたため、これらの者たちと接触し、内部の情報を集めることが急務だと判断した。


「私が復活するまで、秀吉が織田家を完全に掌握することは許さない。信孝を支え、織田家の未来を守るために、我々は一つにまとまる必要がある」と信行は心に誓った。


こうして、信行は再び織田家の中での権力を取り戻すための策を講じ、秀吉との対決に備えることにした。彼が再び立ち上がるためには、まだ時間が必要だったが、その決意は揺るぎないものとなっていた。信行は、織田家の未来を再び自らの手で掌握するために、動き出す準備を進めた。

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