永痴魔先生のアホバカ占い(2024年8月)

永嶋良一

アホバカ占いが始まった💦

 司会の姉ちゃんが、リスナーからの葉書を数枚取り出した。


 ここはラジオの収録室の中だ。人気ラジオ番組の『なが先生の科学講座』の収録中なのだ。


 姉ちゃんが手の中の葉書を見ながら、私の顔を見た。首をひねっている。


 「永痴魔先生。実はリスナーの方から、同じ内容のご質問が多数寄せられていまして・・」


 私も姉ちゃんの顔を見る。


 「ほう、同じ内容のご質問ですか?」


 「はい。皆さん、こういう内容なんです。・・私はカクヨムというサイトに小説を投稿しています。実はカクヨムで、今日から『カクヨム夏の毎日更新チャレンジ』という企画が始まったんですが・・」


 「ほう、毎日更新ですか! それは大変ですね」


 「しかし、毎日何を書けばいいのか分からないんです。・・というご質問なんです。皆さん、悩んでいらっしゃるようですね」


 私はポンと膝を打った。


 「そんなの簡単ですよ。今すぐにでも作品はできますよ」


 姉ちゃんの甲高い声が収録室に響いた。


 「どへぇぇぇ・・永痴魔先生、そんなに簡単に作品ができるんですかぁ?」


 「ええ、できますよ。では、これから私が見本として、何か作品を創ってみましょう。・・毎日、更新ですから・・皆さんが毎日読む内容がいいですね。・・例えば、占いなんかはどうでしょう?」


 「えっ、占いですか! 私、毎日、テレビの占いを見てから出勤してますよ。でも、永痴魔先生、占いって創作物なんですかぁ?」


 私は眼の前のパソコンを操作した。


 「それはアホバカcopilotに聞いてみましょう・・


  占いは創作物なんですか?・・と聞くと・・


  あっ、回答が出ました。こう言ってますね・・


********

アホバカcopilot

 占いは一般的に創作物と見なされることが多いです。占いの多くは、占星術やタロットカード、手相など、特定のシンボルや象徴を用いて解釈を行うもので、これらの解釈は占い師の経験や直感に基づいています。そのため、占いは科学的な根拠に基づくものではなく、創作的な要素が強いと言えます。

 ただし、占いを信じる人々にとっては、占いは自己理解や人生の指針を得るための重要なツールとなることもあります。あなたは占いに興味がありますか? それとも、何か特定の占いについて知りたいことがありますか?

********


・・ということなんです」


 「へぇぇ。しかし、永痴魔先生。占いって、簡単に創れるものなんですかぁ?」


 「ええ、簡単に作れますよ。では、この番組は『永痴魔先生の科学講座』ですから・・これからコンピューターを使って占いを創ってみましょう」


 姉ちゃんの甲高い声が再び収録室に響いた。


 「どへぇぇぇ・・永痴魔先生、占いって、コンピューターで創ることができるんですかぁ?」


 私は眼の前のパソコンに再び手を掛けた。


 「はい。簡単にできますよ。・・まず、パソコンに、誕生月の12個の星座を打ち込みます」


 「誕生月の12個の星座というと・・いて座とか、みずがめ座とか、オナラ座とかいうのですね?」


 「オナラ座はないわい、ボケ!・・で、各星座の横に乱数を発生させるんです。コンピューターですから、簡単に乱数を出せますよね。例えば、エクセルをお使いの方でしたら、『RAND()』という関数で、簡単に乱数を発生させることができます」


 「はぁ?」


 「で、その乱数の小さい順に星座を並べ替えて・・まぁ、大きい順でもいいんですが・・それを、今日の運勢の1位、2位という風にすればいいんですよ」


 姉ちゃんは首をひねっている。


 私は手元のパソコンを操作した。


 「ほら、もうできましたよ。・・これを毎日行って、今日の占いとして、カクヨムで発表すればいいんです。・・これは確率で占ってるわけですから、同じ星座が何日も続けて最下位になったり、また第1位になったりすることもあるわけですが・・まあそれも、ご愛敬ですね」


 姉ちゃんは私のパソコンを覗き込んで、さかんに感心している。


 「へぇ~。自分で創る占いって楽しいですね♪ 永痴魔先生、この占い、うちの放送局のHPで毎日公開してもいいですかぁ?」


 「ええ、構いませんよ。占いだけじゃあ面白くないので・・私が創った、とっておきの俳句もご紹介しましょう」


 またもや、姉ちゃんの甲高い声が収録室に響き渡った。


 「リスナーのみなさぁん。・・ということで、永痴魔先生がコンピューターを使って創った占いを、永痴魔先生の俳句と一緒に、今日から毎日皆さんにお届けしますよぉ~♪ 参考にしてくださいね~♪」



〔著者註〕

 占いは創作物になるのか?・・という点ですが、占う人の思想や経験などが入ったものは創作物になると思われます。でも、今回の永痴魔先生の『占い』はどうでしょうか?(笑) 


 実は、この永痴魔先生がコンピューターで創った『占い』は、「占う人の思想や経験などが含まれておらず、単なるコンピューター・ソフトウエアのアウトプットに過ぎない」と見なされて、創作物には該当しない可能性があるんです。永痴魔先生は、きっとそういう懸念があるから、最後になって、自作の『占い』に、あわてて自分のアホバカ俳句を付け加えたんですね。


 なんか、永痴魔先生って、ずる~い(笑)

 

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