第2話 侵入



 敷地に入った。



 第一関門突破といったところか。



 ここには入れれば、住人から見つかる可能性は限りなく低くなる。



 男は敷地内を見渡す。



 敷地に入ってみると、外で見るよりも広かった。



 広い敷地には広い畑が広がっている。



 家主の趣味だろうか。



 多くの野菜が奇麗に列になるように植えられている。



 素人目にも立派な畑、野菜は立派に育っている。



(全く、金持ちというやつは……、いちいち気に食わん)



 男は小さく舌打ちした。



 金持ちに育てられる野菜は良い肥料を使ってもらえるのか丸まると太っている。



 持つものはさらにいろいろなものを手に入れられるのかと、男は少しイラついた。



 畑に植えられている植物の葉っぱを一枚ちぎった。



 いくらか気持ちが晴れた。



 しかしそんなことを気にしている暇はない。時間が限られているのだ。



 現場にいる時間が長いほど見つかるリスクが高くなる。



 庭にも防犯グッズらしきものはない。



「大丈夫だな」



 さらに庭の奥へ進む。



 建物の前に着く。



 玄関にも防犯カメラはない。



「……よし!」



 男はインターホンを押した。



「ピンポーン!」



 室内で甲高い音が反響する。




 家主がいないのは確認済みだが、他の家族がいないとも限らない。ましてやここまで立派な建物だ、家政婦でも雇っていても不思議ではない。




「……」



 何も起こらない。



 誰かがいる気配もない。



「誰もいないようだな。ならば入れるな」



 男は懐からいくつかの器具を取り出し、玄関扉の鍵穴に差し込む。



(この日のために鍵の開け方を練習したからな、しかし……)



 高級そうな扉だ。良いかぎを取り付けて会っても不思議ではない。だからこそ防犯カメラを置いていないのかもしれない。



 カチャカチャと音を立てる。



「ガチャリ!」



 鍵穴が直角に曲がる。



 意外と簡単に開いた印象だった。



 男の想像より早く鍵が開いた。



「よしよし、いいぞ!」



 扉を引く。



 カチャリと控えめに扉が開く。



「ごめん下さーい」



 そう呟いてみる。



 辺りは静まり返ったままだ。



 家は完全に無人のようだ。

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