幸福論

本は待っていました


真夏の光の降りそそぐ街角の書店で


本は待っていました


真冬の雪の降りそそぐ街角の書店で


そうしているうちに


待ちくたびれてしまったその本に


興味を抱いた救世主めいた青年の


しなやかな指先が触れたとき


本は驚きと喜びが渦巻いて


しばらく失神していることでしょう




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