第3話 24歳

24歳


楓は、また旦那と別居して実家で父と暮らしていた。


子供を預けてパートに出ることにした。


剣とは、あれから会っていない。


剣は自分から連絡をして来ない人…




私から連絡が無くなっても


何とも思わないんだろうな…




パート先に、偶然野球部の友達が仕入先としてやって来た。




「久しぶり!ここで働いてたんだ?」


「そうよ。すごい久しぶり〜」


「たまに来ると思うからよろしく」


「こちらこそ」


と会話を交わした。




それから友達は、たまに来ては同級生の話をしていた。




ある日


「剣は元気?」と聞いてみた。


「元気よ。そういえば、剣さぁ…彼女出来たんだよね」


楓は、「え!マジで…」と驚いた…


友達は構わず言って来る


「彼女、祥子の友達の妹らしいよ」


楓は、しばらく祥子に会っていなかった。


「そうなんだ…良かったね」


と言いつつ…


心が苦しかった…




彼女が出来たと聞いて…更に剣のことが大事だということに気付いた。


ホント…気付くの遅いよ…




楓は、久しぶりに祥子に連絡してみた。


「聞いたんだけどさぁ。剣って彼女出来たんだって」


祥子は「そうよ…友達の妹を紹介したらお互いに気に入ったみたいで…」


楓は「そうなんだね…ぶっちゃけていい?なんか、すごいショックなんだよ」


祥子「なんで?」


楓は、これまでの話を祥子にした。


「気が付いたら、後悔したことに気付いてた…もう、遅いのや…だけどね。」


祥子は「気持ち伝えたいと思わないの?」


楓「伝えたいけど…今更だよね」


祥子「想いだけ伝えるのはいいんじゃない?」


楓「そうかな…」




楓は考えた…


今まで想いに気が付いても、どうしても行動することが出来なかった…


気持ちはちゃんと伝えるべきだったんじゃないかな…




別に彼女と別れさせたりする気はない…


気持ちを伝えるだけならいいよね…




楓は剣にメールした。


―――話したいことがあるから会って貰えるかな…


剣からは、いいよと返事が来た。


そして会う日を決めた。


楓は、なんて言おうか…とドキドキしながら、その日を楽しみにしていた。




でも…


当日…


会う時間の少し前になってから


剣からメールが来た。


―――やっぱり会えない。ごめん。


とだけ…


察するしかなかった…


剣は彼女を選んだのだ…


選ばれるとは思ってなかった。


ただ…会いたいだけだった…


でも、私と会うこともダメだって気付いたんだろうな…


なんか…私って邪魔をする悪い女みたい


そういうつもりは無かったんだけど…




こうして私の恋は終わった…




どうして…


私達は、こんなにもすれ違ってしまうんだろう…


元々、私が悪いのは分っている。


剣は、私に彼氏が出来たり結婚した時…


どんな気持ちだったんだろうか…


今の私みたいだったのかな…


きっと、罰が当たったんだろうな…




いつか…結ばれる時がくればいいな…と思うのは我儘なのかな…

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