ちんちくりんは辛いよ
酷かったつわりはかなり落ち着いてきて、ご飯も食べられるようになって来た。
つわりの長さは人によるらしく、場合によっては出産直前までつわりが続く人もいるみたい。そのタイプじゃなくて本当に良かった。
つわりが落ち着いたことで動けるようになったのだが、ご飯を全く食べていなかったことが祟って大分体力が落ちてしまった。そのため再び体力作りに勤しんでいる。
だけどそんな直ぐに体力が着く筈もなく、もう出産予定日がそこまで来ていた。
成長がかなり早く、とても人とは思えないスピードで大きくなっていく我が子を見ると末恐ろしい気持ちと、『それでも産みたい』という母性がせめぎ合っている。
一度ちゃんと担当医に相談はされたのだ。『このまま成長していくと貴方の体に危険が及ぶかも知れない。望まない妊娠ならば堕ろすことも視野に入れたほうが良い』と。
自分の体は小さい。とてもじゃないけど赤ちゃんを産める体だとは思えない程に。
けど、この子を堕ろすと考えただけで背筋が凍り、心が悲しみで溢れてくる。
この時は指摘されるまで気付かなかったけど、どうやら泣いてもいたらしい。
結局、自分は反対を押し切って産むことに決めた。ただし、産まれた子が人では無かった場合、殺処分するという契約の下。
守る物と倒すべき物の線引きは曖昧にしてはならない。自分はそれを理解した上で出産をするのだ。
エコーで見た限り人型だとは思うから、そこまで心配はしていない。
自分は我が子が例えどんな見た目だとしても、愛するつもりだ。
それより自分が心配しているのは、そもそも出産出来るのかということ。
担当医から言われたことを端的に訳すと『体が小さ過ぎて産道を通れるかとても怪しいから帝王切開になる可能性が高い。そうなると大量出血で亡くなるかも知れないけど大丈夫?』
そんなこと言われるとちょっと怖くなってくる。
だけど産むって決めたのは自分だし、覚悟を決める。
なんならさやかのほうが自分より心配していた。出産予定日が近づくに連れてどんどん挙動不審になってる。すこし見てて面白い。
発散させて貰う時もずっとさやかが自分のことを後ろから抱きついてるし、なんか辛そうな顔をしてる。
心配しないでといつも言ってるけど、最近はずっと張り詰めた表情ばかり。
確かにかなり大きくなったお腹をみて『これ本当に産めるのか?』っていう気持ちが湧くのは理解出来るし自分も薄々そう思ってるけど、腐っても魔法少女だからね。体は丈夫なつもり。
さあ、運命の日まであと少し。そこまでウォーキング頑張ろう。
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