故郷の奪還 勇者や魔王なんて関係ない、田舎の村を取り返すんだ!

ペンギンライダー

第1話 子供たちのリーダー

世界は魔王によって窮地に陥っていた。


10歳のころ住んでいた村が活性化した魔獣に襲われ、2年かけて都市まで避難してきた

父の親戚がいるという情報を頼りに、ここまでやってきた。

しかし、いざ都市に来てみると溢れかえる避難民、田舎村に住んでいたせいで身分を証明するものなどなく城壁の中にすら入れてもらえないという現実


しかたなく、城壁外のスラム街に身を寄せるようになってさらに一年

似た境遇の子供たちで協力しなんとか今日まで生きてきた


そして、ここまで来て分かったことがある。

誰も自分たちを助けてはくれないってことを。

少し訂正しよう。皆、助ける余裕がないってことをここ数年で知った


よって自分だちでどうにかするしかないのだ。自分たちで取り戻すしかないんだ


日が暮れて小さい蝋燭の火を囲み、「家族」の中で年長の五人で話す

毎晩の報告会だ


「今日もお疲れ様。最近来た子供たちもだんだん落ち着いてきて、夜中目覚めることも少なくってきたわ」


子供たちの世話役のエリナが言う。彼女はもともと教会で暮らしていたらしく、下の子の面倒をよく見てくれる


「それは良いことだね。もう少ししたら狩りのやり方も教えたいし、リック、新しい弓の補充をお願いしたいんだけど頼めるかな」


ヤヘルが来てからは食料問題は大分改善した。彼は狩人の息子らしく定期的に食べられる獲物を取ってきてくれる。本人曰く、親父に届かない未熟な腕というが、それでも僕らにとっては頼りになる男だ


「生活が安定してきたとはいえあんまり余裕はないんだよ。できるだけ今あるものでやりくりしてくれよ。一応、明日仕入れにはいってみるけどあんまり期待するなよ」


着けている服が上等なら、貴族のぼんぼんといっても通じそうなほど顔の整っている男はリック。ここでの交渉事はこいつが担当してくれている。


「鍛冶仕事だったら、あたしができたんだけどなー。といっても炉すらないここじゃまだ何もできないけどねー。砥石はあるから今度またナイフ研いであげるよー」


彼女はルーミス、本人曰く材料と機材さえあればなんでも作れるというが真偽のほどは分からない。ただ、ナイフの研ぎや普段来ている洋服の縫い直し、なにより今住んでいる建物の修繕では彼女の世話になった。彼女の腕は確かなのだろう。


「明日、リックの仕入れには俺が護衛についていこう。また新規の避難民が来たらしく、俺らのことを知らないやつが絡んでくるかもしれないからな。」


そして、腕っぷしが強いという理由でリーダーをやっている俺は、ハイク。

ラスティエ村のハイクだ。同じ村のやつが生き残っていた時のために名乗っているが成果は芳しくない



「いきなりだが、皆に大事な話があるんだ。」



俺は、故郷を取り戻したい







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