親探しの吸血鬼娘 チノ(クエスト編)

 吸血鬼娘のチノ。

 かつて、彼女は人間の町に住んでいた。

 病猫街道だ。

「お母様! 学校に行ってきます! 」

「行ってらっしゃい、チノ! 」

 平和な日常が続いていた病猫街道。

 しかし、厄災の魔法少女アミの魔の手がすでに来ていた。

「それにしても、空雲でいっぱいですね。こんなに暗いならお父様も出かければいいのに…………」

 ポツン…………ポツン…………ポチャッン!

「ううん? 」

 ズザアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ……

 ピカーーーーーーーーーーーーゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロ…………

「あ、雨が降ってきました…………狐狸山脈に避難しましょう! 」

 ギウゥゥゥゥゥゥゥゥン…………バサーーーーーーンッ!

 チノはコウモリの翼を出して山に避難。

 翌日、チノの両親は洪水に巻き込まれて亡くなっていた。


 あれから、一ヶ月後。

 生き残った人間達がアミをガラスの棺に封印。

 残った十個のガラスの棺は、邪神の国のどこかに送られた。


 それから二年後。

 十月一日の朝。

 雲に包まれた空の下。

 チノと路地花とアルゴは、馬車で病猫街道へ向かっていた。

 依頼書には、『病猫街道跡 報酬78000Gメンバー記名 ターエ・アルゴ 横丁路地花 ユナシーズ・チノ』。

 ポカラッポカラッポカラッポカラッポカラッポカラッヒヒヒーーーーーーーーーーーン!

「どうやら、雨の魔法少女を封印した後、町は廃墟なったみたいですね。ここに、封印されてないといいですが」

「ひょっとして、チノ。雨の魔法少女のことを気にしているの? 」

「はい、アルゴ様。あの魔法少女は厄災の名に相応しいほど、強力な魔法の使い手です。皆様もご用心してください」

「うん!! 」

 ポカラッポカラッポカラッポカラッポカラッポカラッポカラッポカラッポカラッ…………

「もう着いた! あれ? 後ろにある山、先月見たなぁ」

「路地花様。それは、狐狸山脈です。実は、我の故郷の病猫街道は、狐狸山脈の山道の近くにあるんですよ! 」

「へー。また抱次郎達と会えそうだね」

「けれど、今日は、病猫街道跡の攻略よ。抱次郎に会うのは今度にしましょう! 」

「はーい! 」

 ポカラッポカラッポカラッポカラッポカラッポカラッポカラッポカラッポカラッポカラッ

ヒヒヒーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーンッ! バンッバンッ!

「到着ね! 」

「うん!! 」

 ドンッドドンッ!

 ダンダンッダンダンッダンダンッダンダンッダンダンッダンダンッダンダンッ…………

 路地花達は、馬車を降りて病猫街道跡の奥へ歩いて行った。

 果たして、雨の魔法少女は、いるのであろうか?

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