無能女子校生路地花と十人の悪友

セレンとセシウム

プロローグ

 四月一日の朝。

 邪神の国の魔法少女の家。

 赤いツインテールとマロ毛をしたパジャマ姿をした爆乳魔法少女が、九体のモンスター娘に囲まれていた。

 どうやら、アルゴはモンスター娘のわがままに答えられていないらしい。

「アルゴさん! あたしをペットにしてください! 」

 超乳を潰しながらライオンの腕でアルゴの脚を掴んでいる褐色肌のモンスター娘がいる。

 彼女の名は、ムギ。

 その名の通り、小麦色の体をしたキメラ娘だ。

 脚は、カンガルー。

 尻尾は、大麦。

 お腹には、カンガルーの袋。

 背中には、鷲とカブトムシの羽。

 頭には、ライオンのたてがみとのこぎりような角をしている。

 そんな、彼女の頭には、一丁の拳銃が突きつけられている。

「何を言っているのですか? アルゴさんは邪神になるお方です! 」

 銃を握っているのは、ゲイド。

 かつて、邪神の従者だったブラックドッグ娘だ。

 彼女の服は、黒いショートヘアーと黒いピタピタの水着のような服と黒いコート。

 体は、黒いショートヘアーと黒い犬の耳と尻尾と爆乳。

 そのゲイドの後ろで、金髪爆乳のモンスター娘がアルゴの右腕を掴んでいる。

「何を言ってるの? アルゴはあたしの夫よ! 」

 銭柄のパーカーを来ているアザラシ娘の名は、ゼニガタ。

 一年前、アルゴからパーカーを届けられた、ゼニガタアザラシのセルキーだ。

 セルキーには、パーカーを拾った相手と結婚する文化がある。

 それにより、ゼニガタはアルゴ婚約者にしたのだ。

 そんな彼女を背後から狙うモンスター娘がいる。

「うぐっ! 」

「まだチェーソーは動いてないよ。けれど、これ以上アルゴにべたついたら、みんな肉塊にするからね。アルゴは、僕の妻なんだ! 」

 ゼニガタの後ろから現れたのは、サイクマ。

 白いタンクトップと青緑のつなぎ、頭に包帯を巻いた爆乳の熊娘である。

 二年前、アルゴは人間から三人の娘を守ってくれた。

 その縁があって、サイクマはアルゴの婚約者にしたのだ。

 そんなサイクマの向かい方で、アルゴの左腕を掴む銀髪でまろ毛の爆乳のモンスター娘がいる。

「サイクマ! 全部を肉塊に出来ると思うな! アルゴどのを母上にするためなら、とことんベタついやる! 」

 そう言っている彼女は、チノ。

 寂しさを紛らわすために魔法少女の家にやって来た、吸血鬼娘である。

 彼女は、頭に血まみれ輪っか。

 服は、赤いワンピース。

 背中には、コウモリのはねをしている。

 そんな、チノの頭の上を超乳がボヨンっと襲う。

「ぶぎゃっ! 」

「アルゴのことを母上と言うなんておこちゃまだな! アルゴは、あたしの子守り係になるのだ! 」

 黒いタンクトップと青いショートパンツをした褐色肌のモンスター娘が現れた。

 彼女の名は、カミス。

 黒いボサボザ髪と牛の耳と角と尻尾をしたをした筋肉質のミノタウロス娘である。

 そんな彼女を、手にある目でジロジロと見ているモンスター娘がいる。

「どいつもこいつも何言ってやがる。アルゴはあたいの仕事仲間だよ! でないとこの目で睨みつけるぞ! 」

 複数の目を持つ彼女の名は、蠅場えば

 白い肌と青白いロングヘアーををした百々目鬼娘どどめきむすめである。

 そんな彼女の視界を隠そうと、夜のような黒い肌のモンスター娘が現れた。

「ジロジロ見やがって! アルゴは異世界の案内人だよ! 」

 現れたのは、アツ。

 異世界に行きたくて魔法少女の家にやって来たプーカ娘である。

 彼女の体は、馬の耳と尻尾とポニーテールと爆乳。

 服は、青緑のコートのみだ。

 その彼女の横に、もう一体モンスター娘が現れた。

「いいえ! アルゴは恋人代行よ! 」

 現れたのは、ミオ。

 女として生きる男のケットシー娘である。

 彼女の体は、黒とオレンジと白の三色のツインテールと猫の耳と尻尾。

 服は、ピンクのドレスをしている。

「みんな、あたしを取り合って困るわね! 」

「あたしのもの! 」

「わたくしのもの! 」

「あたしのもの! 」

「僕のもの! 」

「我のもの! 」

「あたしのもの! 」

「あたいのもの! 」

「あたしのもの! 」

「あたしのもの! 」

 すると、赤い木の扉がぎーっとゆっくり開いた。

「あのう? 魔法少女さんですよね」

「そ、そうだけど」

 現れたのは、うさ耳ヘアーの爆乳の異世界人。

 灰色のブレザー、緑チェック柄のズボン、この世界では見たことない飾りがついたバッグ。

 やはり、彼女は異世界人だ。

「魔法少女さん。あたしは、吉祥寺に帰りたいの! 魔法でどうにかして! 」

「ううん…………」

 アルゴは、少し考えた。

 そして、答えが出る。

「今は、無理! みんなの頼みごとが優先だから。計画書が来たらやるよ。今日は、泊まって」

「あっ、ありがとう、魔法少女さん! 」

 異世界人は、オレンジのおさげがぶるんと揺れるくらい頭を下げた。

 

 

 

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