レモンの風

レモンの黄色と海の青

どちらにも染まらない

無色透明な風が

石畳の道を吹き渡る


海の匂いを乗せ

レモンの香りを

摘み採りながら

迷路の道を吹き渡る


名残惜しげに

窓々を撫でつけ

レースのカーテンを

揺らして吹き渡る



海辺を愛した魂は

空と海を分かつ

遠い遠い水平線の

白い光の中へ

還ってゆくのだろう


そこは

夕べの黄色い太陽が

青い波に溶けながら

魔法のように沈む場所


https://kakuyomu.jp/users/rubylince/news/16818093086608551968

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