前のエピソード――第17話

火星の薄い大気の中、赤い砂漠が広がる景色を背景にして、MILLENNIAとIRISは新たな生活を始めていた。火星時空警察本部基地での生活は、新婚生活の延長線上にあり、穏やかで安定していた。しかし、その穏やかな生活は大きな転機を迎えようとしていた。

MILLENNIAの体調に変化が現れたのは、火星到着から半年が過ぎた頃だった。彼女は徐々に体重が増え、次第に腹部が膨らんでいくのを感じた。メディカルセンターでの検査の結果、彼女は妊娠していることが判明した。しかも、双子だということだった。

このニュースは二人にとって喜びと驚きが入り混じったものだった。新しい命の誕生は、彼らの未来を明るく照らし出す光のように感じられた。MILLENNIAとIRISは、双子の誕生に向けて準備を始めた。赤ん坊のための部屋を整え、必要な物品を揃えた。

時が経つにつれ、MILLENNIAの体はますます重くなり、彼女は一日の大半を休息に費やすようになった。IRISは彼女を支えるために全力を尽くし、仕事と家庭の両立に努めた。そして、ついにその日が訪れた。

基地の医療チームは、万全の態勢で出産に臨んだ。MILLENNIAは長時間にわたる苦しい陣痛の末、二人の健康な女の子を無事に出産した。赤ちゃんの泣き声が部屋に響き渡ると、MILLENNIAの目には涙があふれた。

「ようこそ、私たちの世界へ…」MILLENNIAは涙ながらに赤ちゃんたちに語りかけた。

双子はそれぞれ、両親の特徴を受け継いでいた。二人は小さな手を握りしめ、お互いに寄り添って眠っていた。

双子には特殊な能力が備わっていた。MILLENNIAはこれを「贈り物」と呼び、IRISは「運命」と称した。一人の子は驚異的な知覚能力を持ち、遠く離れた場所の出来事を感じ取ることができた。もう一人の子は驚異的な治癒能力を持ち、傷を瞬時に癒すことができた。この能力は、両親から受け継いだものか、それとも火星の環境によるものなのかは定かではなかったが、二人の子供たちは間違いなく特別な存在だった。

子育ては予想以上に大変だった。MILLENNIAとIRISは、双子の要求に応えるために昼夜問わず奮闘した。眠れない夜が続き、二人の疲労はピークに達することもあった。しかし、双子の笑顔や、無邪気な仕草を見るたびに、その疲労も報われる思いだった。

双子の能力は成長とともにますます顕著になっていった。MILLENNIAとIRISは、その力をどのように制御し、導いていくかに心を砕いた。彼らは双子がその力を正しく使い、人々のためになるように育てることを決意した。

火星の赤い大地の下で、新たな命が芽生え、成長していく。MILLENNIAとIRISは、この未知の世界での新しい挑戦に向き合いながら、双子の未来を見守り続けるのだった。双子の誕生は、彼らの生活に新たな喜びと希望をもたらし、未来への光となった。