いまから雨が降る。
七星北斗(化物)
1.空雨
授業の合間に窓の外を眺めると、ポツポツと雨粒が降り始めていた。外の情景を見ていて何となく考える。空は降ってこないのかと?
もし降ってきたら世界はどうなるのか?想像していると楽しくなってきた。いつもの日常の崩壊、私はよくそんな妄想をしている。
神様という不確定性原理、私は神なのだ。いや、言い直そう、神の力を持った女子高生だと。にわかには信じがたいことだとは思うが事実なのだ。
その証拠に、これから空を地球へ降らせます。何故、そんなことをするのか?あなたは疑問を持つだろう。
人間に試練を与えるのが神の役目であり、一人でも生き残ればこのゲームは終わりだ。
空を地上へ落としたら、生き物が生き残れるのか試そう。何十?何百…何万と繰り返している試練、君は乗り越えられるかい?
もし生き残ることができるものがいたら、私はその生き物の子を産もう。それがたとえ、どんな生き物だとしても。
さて、いまから雨が降る。空の雨は降る。人の阿鼻叫喚な声に包まれ、様々な生き物が滅びていく。学校の屋上から見下ろし、私はケラケラと笑う。
まずは空から酸素を落とし、酸素だけの環境になる。人間を含む動物や虫が酸素中毒で死んだ。
続いて窒素を地上に落とす。すると植物は枯れ、地球から緑が消えた。
ここまでで海の生き物の多くが滅び、青く透明な海は灰色となる。
残りの総種数は、百万種である。まだ試練は始まったばかりだ。
それから三日後、すでに飽きてきたので隕石を地球に降らせてみた。加減をミスったのか地球が粉々になってしまう。
やってしまった。
残種族おらず、これまでの被害をリセット。
窓の外では雨が降り始めていた。誰もリセット前の記憶を覚えてはいない。
学校の授業はタメになるとはいうが、面白くはないな。やはり、自然の声を聞いていた方が気分がいい。
歴史の教師は年号に用語を覚えろという。人間の歴史を勉強することは罪(積み)の歴史を知ること。年号と用語に意味はない。
スマートフォンを取り出し、イヤフォンを耳にすると自然音BGMを流す。教科書を立てて教師から見えないようにした。
並んでも買えない仙石ドーナツにVバーガーとシェイクを机に広げる。そしてお菓子をモグモグと咀嚼し始めた。
隣のクラスメイトや声の五月蝿い担任も、数秒前には全て滅んでいたのだ。それを考えると私はやはり神なのだと思う。
次はどうしよう?つまらない試練ではダレてしまう。とはいえ、派手なだけでは面白味が欠ける。
一体どんな生き物が私を孕ませるのかな?
いまから雨が降る。 七星北斗(化物) @sitiseihokuto
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