140字小説(文被31題参加作)(2024)

夕緋

夕涼み

怒りに任せて家を飛び出したが、夏の空気すらその暑さをどこかに忘れていて、俺の気持ちを肯定してくれなかった。

強制的に冷えていく頭が「お前は間違っている」と責め立てる。

こんな風に怒るから、彼女は別れを切り出したんだ。

帰った時にはもう遅い。彼女のいない部屋の空気は酷く冷たかった。

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