底辺商人ワイ、苦肉の策で商品を魔石から奴隷にするも売れず底辺から抜け出せないんだが…
リト
第1話
結婚式がめちゃくちゃになった。
犯人は突如として式場の窓をぶち割り侵入し現場を荒らし回った。
――いや、扉開いてんだからそこから入れよ。
現場がこんな状態なのに僕はちょっと冷静なのはワケがある。犯人に心当たりがあるからだ。心当たりというか僕の所の奴隷たちなんだよな…。
その奴隷たちがあちらこちらで飛び跳ねているから、現場は阿鼻叫喚の事態。
奴隷の一人、獣人のメーニャは、テーブルを飛び回り、綺麗に備え付けられた料理を散らかし飾り付けをぶっ壊し回っている。
――ちゃっかり肉は残さず高速で平らげているのが本人の食い意地が張っているのが分かる。
もう一人の奴隷、アンデットのエレナは、人々の憎悪や悲壮を喚起させ、お互いに因縁をつけさせたり泣かせたりしている。
――これは、僕もやられた事あるけど結構堪えるんだよな〜…
そして最後の奴隷、ハーフドワーフのルネは、逃げ惑う人々の足をひっかけたりして遊んでいる。
――イタズラ好きの彼女がよくやりそうなことだな。
ああ、もう大混乱である。
鳥の丸焼きやら、魚のマリネやら、ワイングラスやら、なんやらがあちらこちらで宙を舞い、人々は積年の恨みを叫び続ける。
その場から逃げようと、駆け出した人々は、バターやワインで汚れた床でこけて、激しく尻を打つ。
そのうち、乱闘騒ぎが巻き起こり、執事、客、料理人、ペットの犬を含めて殴り合う。
僕の隣では、とある令嬢が真っ青な顔をしている。
「これは一体どういうことですの?」
今にも倒れそうな顔で、僕に訊いてくる。
僕は引きつった笑顔で、それに答える。
「え、あ、あ〜……これはきっと、奴隷たちの悪ふざけさ!じきに収まるから、待っていれば……」
そう言おうと瞬間に、メーニャが僕の前のテーブルにやってきて、そのまま猿ぐつわを噛ませる。
「んーーー!!!」
――え、え? どういうこと?
次にハーフドワーフが、僕の手足を縛りあげ、そしてそのままアンデットのエレナが魔法を使って、完璧な連携で僕を連れ出した。
そのあまりにも早いその手際に令嬢は、唖然とした顔をして、その光景を見届けた。
メーニャ達に攫われて小さくなっていく結婚式場を見てメンタルが落ち込んだ。
「あ〜まふたふぁ、どぅしょふぉう(あ〜またか、どうしよう)」
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