2.
匡に無理やり外に出されて不愉快には思ったが、結果的にジルヴァが喜んでいるのならいいか。
少し先に行っては、しゃがんで何かを見ているジルヴァを見ていた時、「あの⋯⋯」と声を掛けられた。
ふと、顔を上げると前から歩いてきたらしい同年代の女子が立っていた。
パステルカラーのワンピースを着た彼女は、どちらかというと大人しめな印象を受けた。
それにしても、そんな相手が祥也に何の用が。
「あ、もしかして、
「え⋯⋯まぁ⋯⋯そうですけど」
「やっぱり! 久須君、久しぶりだね! こんなところで会えるとは思わなかった!」
「え、はぁ⋯⋯」
ぱっと晴れたように笑いかける女子に愛想笑いにも似た顔で返した。
久しぶりとはいっても祥也は全く憶えていない。そもそも祥也のことを憶えてくれているような同級生がいるとは思わなかった驚きもあるが、それはそれで不都合だと判断した祥也は、その場を離れようとした時、「しょーやーさま!」とジルヴァが駆け寄ってきた。
「さっきみたいなまるいいしとか、さんかくみたいないしとかありました!」
「⋯⋯そ、うか⋯⋯」
「えと⋯⋯、可愛いね、弟くん?」
そこでジルヴァは初めてその女子がいることに気づき、ハッとした顔をして「しつれいしました!」と頭を大きく振り下ろした。
「ジルヴァといいます!」
「じる⋯⋯ゔぁ⋯⋯?」
「弟⋯⋯みたいなものだ」
「そうなんだ。弟君がいたんだね。あ、私はね、詩織っていいます。
「しおりさまは、しょーやさまとどんなかんけーなんですか?」
「中学時代の同級生だよ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます