第31話 ランキング
「よう! 兄ちゃん! どうだった? 初めての配信は」
すると、先ほど、俺に配信の仕組みを教えてくれた商人風の恰好をしておじさんが話しかけてきた。
「最高でした!!!」
「はっはっは!! そうだろう! なんてったってルーナちゃんはこの町で一番の配信者だからな。俺はあの子が楽しそうにダンジョンを攻略するのを見るのがなによりの楽しみなんだよ。君にわかってもらって良かったよ」
「改めて思いました。ルーナさんは半端ないって!」
「ああ、全くだ! いま配信していたダンジョンは上級ダンジョンでも一番の難易度を誇る【レガリス】だ。そこいらの冒険者じゃ足を踏み入れることすらできない場所だ」
「そんなに難しいダンジョンだったんですか?」
「ああ! うちの町では上から二番目の難易度だ。それをいとも簡単に攻略していく。あの子は本当に天才だよ」
「そうなんですね! すげぇ! すごすぎる!」
女将さん以外の人からルーナさんの凄さを聞くのは初めてだった。自分の憧れの人がとてつもない人間だということがひしひしと伝わってくる。
「あの子は来月、特級ダンジョンの【ドラグスト】に挑戦するらしい。きっとやってくれるよ。一緒に応援しような!」
おじさんはそう口にすると去っていった。
俺はしばらく余韻に浸っていたが、しばらくすると立ち上がり通路を歩き始めた。通路の先には、他にもいくつものホールがあり、人々は様々な配信を見ていた。しかし、先ほどのルーナさんの配信が一番人が集まっていた。
俺は、再び受付の近くまで戻ると、受付の横の壁に【モルド冒険者ランキング】というものが表示されているのに気付いた。俺は、ランキングの一番先を見上げた。
すると、そこにはルーナさんの名前が表示されていた。
1 ルーナ=パルフォード 白銀の翼 特級中位
2 エマ=アルベルト 白銀の翼 特級中位
3 アッシュ=カイライン ケルベロス 特級中位
4 ハイド=ビルナイツ 夢の浮雲 特級下位
5 カート=ロードクロア バーサーク 特級下位
6 リオ=マーシェル ケルベロス 特級下位
7 フィオナ=タールコール 神の民 上級上位
8 バージル=ネストル バーサーク 上級上位
9 ソフィア=トロニカ 白銀の翼 上級上位
10アレク=ノッドスタッド 神の民 上級上位
(本当にトップなんだな。ルーナさん。まじですげぇ!! かっこいいなぁ……! んっ?)
ランキング表を見ていて俺は名前の横に厨二病的な名前が書かれていることに気づいた。
通りがかった同じくランキングを見ている人に聞いたところ、それがパーティ名であることがわかった。
「白銀の翼か……良い名前だなぁ!! あれ?」
掲示板にはあと二人、白銀の翼と表示されている名前があった。
(エマさんと、ソフィアさんって人も白銀の翼のメンバーなのか! さっきの映像には映ってなかったけど……。ランキングの上位十人に三人も入ってるなんて、すごいパーティだな!)
俺は、そのまま最後までランキングを見ていくと、1番最後に自分の名前を見つけた。
1821 アヤト=カゲヤマ 未所属 初級下位
と表示されていた。
(当然だけど一番最後は恥ずかしいな!! こんなことなら中級から始めれば良かった! でももう受付しちゃったしな……)
「よしっ! ルーナさんに笑われないように早くランキングをあげよう! いや、俺の名前まだ知らないか! あの時名乗れなかったし……。 まあ良いや、とにかく頑張ろう!」
俺は早速初級ミッションを受注するため、受付に向かった。
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